暮らし

2024.09.29 11:00

都市の住みやすさは「15分圏内」で決まる 生活圏の理想度を測る地図ツール開発

欧州の都市は米国の都市より優れている

ソニーCSL-ローマの「15分都市マップ」は、任意の地域について、生活に不可欠なサービスにアクセスするのに何分かかるかを示している。「15分圏内」は青色で、15分以上かかる地域は赤色で表示される。人口密度は重要な要素であり、大勢が密集して住んでいる地域は通常、より短い距離でより多くの人が利用しやすいサービスがよりたくさんある。イタリアのミラノやスペインのバルセロナはこの点で非常にコンパクトにまとまった都市で、今回の研究でも高い評価を得た。

欧州の都市の多くが15分圏内に収まっているのは、自動車の普及以前に都市が建設されたため、特に中心部ではあらゆるものが手の届く範囲になければならなかったからだと研究チームは指摘している。

米国ではアトランタとロサンゼルスが遅れをとっている

この研究では、米主要都市の中に際立って「15分都市」の理想からほど遠い都市が2つあることが明らかになった。アトランタとロサンゼルスである。

一方、ニューヨーク、サンフランシスコ、ミルウォーキーなどでは多くの地域が15分圏内の基準に十分収まっている。ニューヨークでもマンハッタン地区は特に優秀で、米国有数の人口密集地として住民は多くのサービスへのアクセスの良さを享受している。

とはいえ、「15分都市」を理想の生活圏を決める唯一の指針にするべきではない点には留意が必要だ。欧州の都市の多くはたしかに便利かもしれないが、15分圏内の基準には考慮されていない要素がある。たとえば、多くの人々がアパート暮らしで自宅に庭がない事実は、QOLを下げる要因になりかねない。

都市計画の担当者や移住を考えている人は、優れた都市を構成するその他の側面についても検討しなくてはならない。これには平等性、交通の便、渋滞の少なさ、充実した医療・教育などが含まれるだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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