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2024.10.02 16:00

農林水産業にもビジネスを加速させる革命を——Amexが産学官金と“混ざって”挑む一次産業へのバッキングとは

8月、第一次産業である農林水産業ビジネスの新しい未来を考える共創コミニュティイベント「ONE SUMMIT 2024 in 宮崎」が開催された。ローカル・スタートアップ協会が主催し、日本最大級となったこの農林水産業サミットには、全国から200名を超える参加者が集結。「混ぜる」というコンセプトの通り、行政機関からスタートアップ、メディアや農林水産業従事者らさまざまな業界から集まった。

「農林水産業の悩みと解決方法について」というテーマで実施されたオープニング・セッションには、Forbes JAPAN編集長の藤吉雅春によるファシリテーションのもと、宮崎市副市長の永山英也、AGRIST代表取締役CEOの齋藤潤一、アメリカン・エキスプレス・インターナショナル(以下、Amex)日本代表/社長の須藤靖洋が登壇。公も民も業界も超えて「混ざる」ことによって、日本の一次産業の未来をどうつないでいくことができるのか——それぞれの意見を交わした。


今回の会場となった宮崎県は、1960年頃には日本全体で農業産出額(農林水産省公表)が30位前後と、農林水産業において低迷していた歴史がある。しかし、これに対し同県は、60年に市町村や農業関係者、関連団体とともに台風被害を回避する営農方式を目指す「防災営農計画」を策定。それまでの露地野菜や水稲栽培から、技術開発と仕組み自体を変革する形で畜産と施設園芸、台風の時期以前の収穫となる早期水稲へと舵を切った。その結果、「2021年度の農業産出額が全国4位(最新データとなる2022年度は全国6位)にまで上ることができた」(永山)という。

「公民連携」という言葉自体がなかった時代に、県や農協、そして地域の農家が手を取り合って、同県の農業を発展させてきたことがうかがえる。

永山英也(宮崎市副市長)

永山英也(宮崎市副市長)

一方で、近年では飼料の海外輸入や施設園芸に伴うエネルギーも含めて、高コスト化が進み、収益を上げるためには莫大な投資が必要となっており、既存の構造改革が再び課題になっている。

「地政学的な問題から収益性が低下していることが大きな問題となっています。ほかにも、環境持続可能性の観点からも危機感があります。さらに、宮崎周辺には大きな消費地がないため、現在は関西圏や東京が主たる消費地となっており、2024年問題を踏まえた低コストでの流通や新たなマーケット開拓も大きな課題です。これらの課題を前に、耕作放棄地や承継問題が深刻化するなかで、収益が上がり農業が楽しい状態を構築し直すことが求められているのです」(永山)

産業を後押しするブランディングとDXの必要性

では、これらの課題に対して何ができるのか。そもそも宮崎県は高品質な作物、ブランド戦略、そして新技術の三本柱をもって、農業を活性化させてきた成功体験をもつ。

1994年には「みやざきブランド確立戦略構想」を策定するなど、全国に先駆けて農産物のブランド化に着手してきた。今でこそ宮崎牛やマンゴーといった宮崎の特産物はみやざきブランドとして全国的に知られているが、90年代当時は、世間や農業従事者から「農産物は化粧品じゃない」との批判の声もあったという。そうした逆風のなかで、ブランドの確立に邁進した結果が今につながっているのだ。

「かつての宮崎がそうだったように、現在の農林水産業にはブランディングやマーケティングが不足しているんです。高品質な農作物の生産を前提とした上で、日本の農作物は優れた品質があるからこそ、ブランドとして発信し、ふるさと納税をはじめとした新たなマーケットを拓いてくことにまだまだ可能性があるはずです」(齋藤)

齋藤潤一(AGRIST代表取締役CEO)

齋藤潤一(AGRIST代表取締役CEO)

その一例として、齋藤自身が代表理事を務める一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(以下、こゆ財団)が手がける「1粒1000円ライチ」を例に挙げる。

「1粒1000円ライチ」とは、地域で生産されていた高糖度の貴重なライチを、商品が届くまでのプロセスやストーリーをしっかり見せることで「新富ライチ」としてブランド化し、大ヒット商品となったものだ。空港での土産品やふるさと納税の返礼品として販売したことで、テレビや新聞などでたびたび取り上げられるようになり、“産地”である新富町もまた、注目を集めることとなった。

農業の収益性を上げるためには消費者と生産者、両者にとって農産物が適正な価格での流通ルートの確立が解決策のひとつであり、そのためにはブランディングが重要な役割を果たすと、永山も続ける。齋藤は重ねて、「これからの農業は体験を売っていく」ことの重要性を強調。購買に紐づく体験を提供する企業として、Amexに期待を寄せているという。

Amexは1850年、当時ゴールドラッシュに湧くアメリカで、貨物や貴重品の急行便会社として創業。日本でも20年近く前からBtoBに注力しており、十数年前には当時カード取引が一般的でなかった医療業界のある分野において、カード決済やキャッシュレス化を浸透させた実績がある。これによって同業界における経理まわりのDXによる作業効率化や、決済環境の変革に寄与してきた。メインの決済手段が現金や銀行振り込みである第一次産業でも同様の動きを起こせるはず——とは、齋藤の言だ。実際にAmexは近年、農業や畜産業など第一次産業における肥料や飼料、農業機械のサプライヤーを加盟店化することで企業間のカード取引を普及させ、特に人材不足と言われる第一次産業の経費、経理分野での効率化、DX化のサポートを積極的に行っている。

「日本の農林水産業にはとてもポテンシャルがあると感じています。世界200以上の国と地域で展開するグローバル企業のAmexとしては、日本の農産物を世界に売り出す際に、世界の農家や企業、顧客を加盟店とカード会員様でつなげることによって、支援ができるのではないか、と。例えばリンゴ、イチゴ、桃など、日本の果物は本当においしいですから、それらを販売する農家や店舗に加盟店となっていただき、グローバルに売り出す架け橋となるなど、Amexのできること・可能性を探っているところです。

また、我々はAmexのカード会員様であるさまざまな企業をつなげるビジネスマッチングも手がけています。同業種で共有されている知見や情報を、Amexが間に入り異業種間でつなげることで、さまざまなシナジーやビジネスが生み出していきたい。そういった面でも、後方からの農林水産業支援をより強めていきたいと考えています」(須藤)

須藤靖洋(Amex 日本代表/社長)

須藤靖洋(Amex 日本代表/社長)

生産性や効率化を向上させるDX自体が"新しい価値"であり、新しい価値を伴うストーリーは公民連携においてもキーファクタとなる。ブランディングをする上で、DXやサスティナビリティ、ウェルビーイングといったこれからの社会で求められる価値を明確に定めることは、これに向けた政策や取り組みを加速させることにつながるからだ。

そして、公民連携を進めるにあたっては、ビジネスマッチング機能が果たす役割も大きい。

「行政側は企業からの地域課題解決に向けた提案を受けて担当課とつなげるなど、公民連携のマッチングを進めてはいますが、行政側から民間に対して構造的な課題や困難を十分に提示できていないという懸念があります。だからこそ、行政は今後より、オープンであることが問われているのです」(永山)

産学官金すべてを混ぜて挑む農林水産業の未来

もはや産学官だけでなく、「金」も含めてすべてが混ざり合って挑まなければ、グローバルには勝てない——その危機感は、会場内に大きな共感を生んでいた。

「例えば、アメリカのテスラは国と組みながら世界戦略を押し進めています。宮崎県もこの思考を持つことができれば、それは大きなアドバンテージになるでしょう。公民連携で絶対に重要となるのは、経済です。宮崎に限らず、全国各地で地域に産業の雇用を生み出し、経済を動かす——つまり、ビジネスをやらなければならない。そこには、Amexのような金融の人たちも欠かせません。本サミットはテーマとして『混ぜる』を掲げていますが、公民連携やスタートアップをかけ合わせるというのは、農林水産業の未来のキーワードになるはずです」(齋藤)

Amexがクレジットカード利用が浸透していなかった業界にカード決済というDXを「混ぜて」いった際には、「ユーザーがどういう思いをもって、何が課題となっているのかを把握した上で、カード会社にできることを地道に開拓していった」という須藤。永山もまた、公民だけでなく、産業も混ざっていくためにはまず、「それぞれの違いを認めること」が重要だと強調する。

「『ONE SUMMIT 2024』の"ONE"とは"第一次"産業であり、産官学らが"ひとつ"につながることでもあります。業種や業界を問わず、多種多様な人々が集うこの『ONE SUMMIT 2024』で起こる化学反応から、未来の新しい価値が見つかるはずです」(齋藤)


* * *

オープニング・セッションの後、数多くの分科会やキーノートが展開され、経営者同士が悩みを吐露してアドバイスを送り合う「お悩みピッチ」も催された。「成長を目指す、すべてのビジネスオーナーに。」と掲げるAmexの想いを反映するように、経営者や農業従事者、スタートアップや行政関係者がまさに混ざり合い、須藤が言うビジネスマッチングの一端を垣間見ることができた。農林水産業の課題が山積するなかで、次世代をつくる萌芽もまた始まっている。

アメリカン・エキスプレス


ながやま・ひでなり◎宮崎市副市長。1981年宮崎県庁入庁。2009年総合政策部総合政策課長、2011年農政水産部 畜産・口蹄疫復興対策局長、2015年商工観光労働部長、2016年総合政策部長を務め2017年3月に宮崎県庁を退職。2018年県内企業の成長戦略の実現を促すことを目的に設置された「宮崎県プロフェッショナル人材戦略拠点」でマネージャーを務める。2020年宮崎県庁での多様な経験とネットワークを活かして、宮崎大学産学・地域連携センター特別教授に就任。2023年1月より現職。

さいとう・じゅんいち◎AGRIST株式会社 代表取締役/一般財団法人こゆ地域づくり推進機構 代表理事。米国シリコンバレーのIT企業でブランディングマネージャーを務めた後、帰国。東日本大震災を機に「ビジネスで地域課題を解決する」を使命に地方の起業家育成を開始。2017年より宮崎県新富町役場が観光協会を解散して設立した一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(以下こゆ財団)の代表理事に就任。1粒1000円ライチの開発やふるさと納税で寄付金を累計100億円以上集める。2019年10月に農業課題を解決するために収穫ロボットを開発するAGRIST株式会社創業。代表取締役CEO就任。2024年2月に日本の農林水産業や起業家を産官学で支援する一般社団法人ローカル・スタートアップ協会を設立。

すどう・やすひろ◎アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. 代表者(社長)。1990年にアメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. に入社。シドニーオフィスなどでの勤務を経て、2001年にマーケティング部においてさまざまな個人向けおよび個人事業主向けの商品開発に携わる。15年、個人事業主、中小企業経営者向けサービスを統括する副社長に就任、その後16年〜22年まで、法人事業部門 副社長 ジェネラル・マネージャーとして事業の拡大に貢献。22年、個人・法人の多岐にわたる部門を率いる副社長日本市場において大企業及び中小企業などさまざまな法人顧客、ならびに個人顧客に対するカード会員の獲得、マーケティング、アカウントおよびパートナーの開発を統括。23年7月1日より現職。

Promoted by アメリカン・エキスプレス / text by Michi Sugawara / edit by Miki Chigira / photo by Yuta Nakayama