調査では、コロナ禍を1年間経験してまだ先行きが不透明だった2021年4月、組織、個人とも何をしてもこの状況は変わらないという「あきらめ感」がトップだった。2023年になると、人と接することが少なくなったからか、またリモートワークで生活にゆとりができたためか、逆にお互いに支え合おう、助け合おうという「支え合い感」や、個々のよさや長所を認め合おうという「認め合い感」が強くなった。
ところが、コロナが2類相当から5類感染症に移行して1年が経過し、形の上ではコロナ禍が明けたとされる今年の5月、個人、組織ともに「支え合い感」と「認め合い感」は低下して、再び「あきらめ感」がトップに躍り出てしまった。
コロナ禍を通じて価値観に変化があったかを尋ねると、「変化なし」が約3割ともっとも多かったが、次に多いのが「仕事はお金や生活のためと割り切る気持ちが強くなった」だった。そして、「もっと自分の時間や家族との時間を増やしたいと思うようになった」、「リモートワークでの働き方を中心にしたいと思うようになった」と続く。一般社員、管理層、各年代で同様の傾向が示された。
緊急事態宣言が発令された2021年からは、社内のコミュニケーション量が次第に増えている。決して人々が疎遠になっているわけではない。だが、コミュニケーションの質を見ると、「仕事を進めるうえで必要な」ものがもっとも多く、会社の未来についての話し合いや仕事以外の不安や悩みの相談は減少傾向だ。
価値観は変わらないものの、リモートワークで家族とのびのび仕事ができていた時期から、再び満員電車に詰め込まれた会社に行く日々に戻り、一気に仕事量も増えてげんなりしてしまったのか。コロナで大きな行動変容が起きるかと期待していたが、すっかり元に戻ってしまった。それが、やっぱり何も変わらないという「あきらめ感」につながっているとジェイフィールは推測している。連休明けの月曜日のような心理なのかもしれない。
さらにジェイフィールは、「リアル中心の働き方」に戻り日常の業務に忙殺されるようになり、人々の「余白」がなくなっていると指摘する。会話も目先の仕事の話ばかりになると、社会の未来、個人や会社の将来などを話すことがなくなると「近視眼的な発想が強まり、視野が狭く」なる。すると、未来に希望が持てなくなり、会社へのエンゲージメントも下がり、組織が弱くなるという。「今こそ、会社、組織、個人で大きな企てを考えることが必要な時期」だと同社は提言している。
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