テクノシグネチャーは、もし見つかれば、太陽系外の恒星系に生命体が存在することを間接的に裏付ける、過去や現在の科学技術の証拠となる。都市の照明、太陽電池パネル、巨大建造物、人工衛星群などが、テクノシグネチャーとして挙げられる。
同様のテクノシグネチャー探査は以前にも実施されているが、銀河系外にある系外銀河を対象とする探査は今回が初めてだ。観測に用いられているオーストラリアの電波干渉計(複数のアンテナを組み合わせて高分解能の電波望遠鏡を構成する観測装置)は、銀河系内だけでなく、系外銀河2800個にある恒星系における生命の兆候を探索できる。
広範囲の探索
米SETI研究所、米バークレーSETI研究センター、豪国際電波天文学研究センター(ICRAR)が共同で進めるこのプロジェクトでは、西オーストラリア州内陸部のアウトバックで運用されているマーチソン広視野電波干渉計(MWA)を利用する。MWAはアンテナ総数4096基の低周波電波干渉計で、アンテナ16基が格子状に配置されたグリッド256個で構成されている。MWAが地球外知的生命体の探索に用いられるのは、今回が初めてではない。2020年にはMWAを用いて、過去最も遠距離かつ広範囲を対象とする地球外科学技術の探索が実施された。観測では、帆座周辺の空の一画で、銀河系内の恒星が1000万個以上ある領域を詳細に調査した。低周波での電波観測は17時間に及んだが、知的生命体の痕跡は何も見つからなかった。