新ベッティングサービスのリリースや競輪場の所有・運営、オーストラリアでの連結子会社の現地法人によるサービス立ち上げなど、次々と事業を展開。4年でスポーツ事業売上の約74%、約246億円を稼ぐまでに成長させた。
MIXI代表取締役社⻑の木村弘毅氏へのインタビュー後編では、ベッティング事業の狙い・ビジョンや豪州展開の勝算、日本のスポーツベッティング解禁議論への考え、今後の取り組みなどについて迫った。
目指すはスポーツの民主化。「ソーシャルベッティング」で富の再分配を実現
──プロスポーツクラブの経営に乗り出した2019年に、競輪・オートレース車券販売サイト『チャリロト』運営のチャリ・ロト、競馬総合情報メディア『netkeiba』運営のネットドリーマーズを子会社化し、公営競技事業にも進出されました。スマホゲームのノウハウを活かしてエンタメ性を高めた共遊型スポーツベッティングサービス「TIPSTAR」のリリースや競輪場の所有・運営などに着手されました。狙いと経緯を教えてください。
木村:スポーツ事業を構想した当初から、スポーツベッティングに強い興味関心がありました。
スポーツの民主化を目指すうえで、お金を出せる人が出して、それを財源として、多くの人々がアクセスできるものにしていくといった「富の再分配」を民間主導でやっているのがイギリスやアメリカのモデルで、それを日本型でやりたいという想いがありました。
そして、実はすでにそれができているのが公営競技でした。
公営競技の収益は、それこそ公益的に様々なところで富の再分配が行なわれているんですよね。戦後からカルチャーとして根付いていて、今だと7兆円超の収益をあげ、日本の大きな財源になっていると。
これは公営競技から学ぶことはたくさんあるだろうと、参入することにしました。
中でも「競輪」は、管轄省庁で言うと経済産業省なんですけど、DX(デジタルトランスフォーメーション)さえ進んでいけば、もっと若い人たちにも楽しんでもらえるものになるんじゃないかという強い課題意識をお持ちでした。
私たちが参入する前の客層をみると、平均年齢が50〜60代で男性比率が約9割でしたが、若者をターゲットに開発した「TIPSTAR」ユーザーのコア年齢層は30〜40代で女性比率も上がっています。まだ発展途上ではありますが、一定の課題解決にはつながっているのではないかと考えています。
事業としても、TIPSTARは2024年3月期に通期黒字化を達成しました。引き続き、SNSやスマホゲームのノウハウを活かした「ソーシャルベッティング」の機能の磨き込みを行ない、大きな成⾧を目指しています。