マスクは9月21日、「一般人は立ち入り禁止 ヴィノッド・コースラ所有地」と書かれたビーチの看板の画像をXに投稿し、「このような看板を公共のビーチに掲げるのはクレイジーだ」と主張した。この投稿は、コースラが16年間にわたって続けている、彼が所有するサンフランシスコのビーチへのアクセスを制限するための法廷闘争に言及したものだ。
コースラは、2008年にサンフランシスコの南のマーティンズビーチに面した土地の大部分を買い取った。この土地には、海岸へ通じる実質的に唯一の公道が含まれていたが、それ以来コースラは、ビーチから一般の人を締め出すための措置を講じており、このビーチが公共のものだと主張するカリフォルニア州と裁判で争っている。
コースラはマスクの投稿に反応し、「虚偽情報の拡散」に対する謝罪を要求した。彼は、このような看板を掲げたことは一度もなく、マスクの無責任な行動が「多くの損害を引き起こしている」と主張した(マスクが投稿したビーチの看板の画像は、人工知能(AI)を用いて改ざんしたものだと思われる)。
マスクはまた、ビーチの問題を利用して、両者が以前から激しく対立している今年の大統領選やAIの発展、移民問題をめぐる議論に火をつけた。
コースラとマスクは、ここ数カ月で両者が関わりを持つChatGPTの親会社であるOpenAIについて公の場で言い争った。また、コースラは先月、マスクとドナルド・トランプの対話を「愚かだ」と非難し、マスクはコースラが「トランプについて錯乱している」と主張した。さらに、2人はトランプが広めたハイチからの移民についての虚偽の主張をめぐっても、Xで互いを非難した。
先週末にマスクは、カマラ・ハリスを公に支持しているコースラが「偽善者」だと非難し、全米に移民を送り込むためのハリスの計画を支持するコースラが、「自分のビーチには、一般人が足を踏み入れることすら許さない」と揶揄した。
コースラはこれに対し、マスクのほうこそ偽善者だと主張し、マスクの移民に対する立場を批判した。コースラは「私は、違法移民には反対しているが、合法で審査済みの移民の受け入れは米国が他国に対して持つ大きな利点だと感じている」と語った。
ビーチをめぐる法廷闘争
コースラは2008年に、サンフランシスコ近郊の人気のサーフスポットであるマーティンズビーチの土地を3200万ドル(約46億円)で購入した。その2年後に彼は、「立ち入り禁止」の看板を立てて、ビーチへのアクセスを封鎖した。コースラは、不動産の所有者は、そのアクセスを管理するための「固有の権利」を持つと主張している。州の土地委員会は、この土地が以前からの利用状況に鑑みて一般の人のビーチへのアクセスに開放されるべきだとしているが、コースラは、この土地が以前から一般向けに開放されていなかったと主張している。