経営・戦略

2024.09.27 17:45

社内不正、5割の人が見て見ぬフリする理由

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会社での内部不正を発見したことがある人は約3割にのぼるが、通報している人はわずかだ。大手企業には内部通報窓口があるものの、通報しにくい空気がぬぐいされない。

経営管理、士業に特化した人材紹介などを行うMSーJAPANは、全国の企業の管理部門に勤める男女383人を対象に「会社の不正の発見」に関する実態調査を実施した。目にした不正の内容は、「不正な取引や会計・脱税」がもっとも多く、「給与の不払い・違法なサービス残業」、「データ改ざん・偽装」、「賄賂や横領」などと続く。

部門別では、経理、内部監査、人事、その他の管理部門などで多く発見され、1回だけでなく「何度もある」と答えている人も多い。

不正を発見した人のうち、内部通報をしたことがある人は2割にも満たない。通報した先は上司や管理部門がもっとも多く、内部通報窓口は1割にとどまる。従業員数が500人を上回る企業では8割以上が設置している内部通報窓口だが、あまり活用されていない。

また、会社の内部通報制度を信用している人はおよそ5割。その信用のなさを裏付けているのが、通報後の会社の対応だ。通報後に調査や改善がされた割合は5割弱。うやむやにされた、どうなったかわからないという答えが6割近くにのぼっている。

しかも、内部通報したあとに3割近い人たちが不当な人事異動、降格、嫌がらせを経験している。内部通報をした労働者は公益通報者保護法で守られているはずだが、不利益の是正には通報者本人が民事訴訟を起こすなど大きなコストを支払う必要があり、それでも「裁判で争って、不利益な扱いを覆すのが難しいケース」もあり、そのため「不正を発見しても内部通報しない選択をとる人」が多いのだろうとMS-JAPANは解説する。斎藤元彦兵庫県知事のパワハラ問題で、公益通報制度の信頼も揺らいでいる。このままでは、不正をやった者勝ちの世の中になってしまう。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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