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2024.09.27 08:00

「がん治療薬」で注目のイラン出身の女性ビリオネア、異色の経歴

サミット・セラピューティクスの共同CEOのマキー・ザンガネ

1997年に彼女はイランの友人の紹介で、Computer Motion(コンピューター・モーション)と呼ばれる米国のロボット手術会社で働くようになり、それと並行してフランスに拠点を持つ米国のシラー大学でMBAを取得した。その後、彼女は同社のグローバル担当副社長に昇進し、2002年にはカリフォルニア州サンタバーバラの本社に移籍した。翌年、競合のインテュイティブ・サージカルがコンピューター・モーションを買収し、ザンガネは会社を去った。
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彼女はその後、コンピューター・モーションのCEOだったロバート・ダガンが立ち上げた投資会社、ロバート・ダガン・アソシエイツで事業開発担当副社長として働き、それが次の章へとつながった。

投資を模索する中で、彼らはまだ小規模な製薬開発企業だったファーマサイクリックスに注目し、2004年に最初の投資を行った。ファーマサイクリックスは、その後、インブルビカと呼ばれる抗がん剤の承認に成功し、売上を急増させた。2015年にダガンとザンガネは、同社を米国のバイオ医薬品大手アッヴィに210億ドル(約3兆円)で売却した。

2020年、ダガンはサミット・セラピューティクスの過半数株式を6300万ドル(約90億円)で購入し、CEOに就任した。ザンガネは同年に乳がんと診断されたが、サミットの取締役に就任し、2022年9月に共同CEOとなった。彼女は現在、乳がんから回復した。
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ザンガネとダガンは現在、サミットの肺がん治療薬のイボネスシマブに大きな期待を寄せている。同社は現在、この薬を使用した20件の臨床試験を中国で進めており、悪性度の高い乳がんのトリプルネガティブ乳がんや大腸がん、頭頸部がんなどの治療効果を検証している。「成功の可能性は非常に高い。バイオテク分野でこれは珍しいことだ」とダガンは語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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