ニューマンとサウジの複雑な関係
ウィーワークの共同創設者であるニューマンは、サウジアラビアとその政府系ファンドのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)との複雑な歴史を持っている。このファンドは、過去10年間で世界のハイテク大手や投資家の主要な支援者として浮上したが、サウジ政府の人権問題や、ジャーナリストのジャマル・カショギの殺害事件への関与によって物議を醸している。ソフトバンクのビジョン・ファンドは、ニューマンのウィーワークに200億ドル(約2兆9000億円)以上を投じたが、その資金の大半は、同社の主要な支援者の一つのPIFからのものだった。ソフトバンクは、ウィーワークが巨額の損失を出し続けたにもかかわらず、投資を続けたため、PIFはビジョン・ファンドの第2弾への投資をボイコットしたと報じられた。
ニューマンは、そのような経緯があるにもかかわらず、昨年リヤドで開催されたスタートアップ向けのカンファレンス『ダボス・イン・ザ・デザート』に、スター講演者として登壇した。彼はまた、このカンファレンスでFlowのサウジへの進出をほのめかし、「サウジは、ほとんどスタートアップ企業のようなものです」と、自身の支援者であるマーク・アンドリーセンやベン・ホロウィッツと共にステージで語っていた。
ホロウィッツはサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子について「サウジには創業者がいます。人々は、彼を創業者とは呼ばずに殿下と呼んでいますが」と語っていた。
Flowは、ニューマンにとって最初の住宅プロジェクトではない。イスラエルのキブツと呼ばれるコミュニティで育ったニューマンは、2016年にウィーワークのコリビング部門のウィーリブを立ち上げて、Flowと同様のコンセプトを掲げていた。ウィーリブは、ヤングアダルト向けに短期間の家具付きアパートの賃貸を提供する会社で、ニューヨーク・タイムズ紙は当時、同社が2018年までに3万4000人の入居者を見込み、ウィーワークの収益の4分の1を占める見通しだと報じていた。しかし、ウィーリブのニューヨークとバージニアの2つの拠点は、2019年にニューマンがウィーワークのCEOを辞任し、IPO計画が頓挫した直後に閉鎖された。
取締役会や投資家による反乱でウィーワークを追放された後、ニューマンは、フロリダやジョージア、テネシーにまたがるサンベルト地域の4000戸以上のアパートを含む物件に10億ドル(約1436億円)以上を投資した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、これらの取引の資金が、ニューマンがウィーワークの株を売却して得た数億ドルと、ソフトバンクからの2億ドル(約287億円)のコンサルティング契約から調達されたと報じたが、Flowの広報担当者スティーブンスはこの報道を否定した。
ニューマンはまた、不動産管理のスタートアップAlfred(アルフレッド)に投資し、後に競合のCarson(カルソン)を買収したが、その技術はFlowに統合された。Flowも不動産の管理ビジネスを手掛けている。フォーブスがこの取り組みについて報じた際、ニューマンはFlowがアルフレッドと競合していることを否定したが、後にアルフレッドへの投資を引き上げた。「この2社は競合していないし、以前から競合ではなかった」とスティーブンスは述べている。
(forbes.com 原文)