アジア

2024.09.26 08:00

中国のバッテリーメーカーが直面する「米議会の反発と特許紛争」

そのため、バッテリーの重要性が高まるにつれ、米中間の政治的駆け引きと、知的財産権をめぐる争いが活性化している。CATLは昨年、自社に向けられた安全保障上の非難に反発する声明で、「当社はグリーンエネルギーの未来を支えることにコミットしており、世界中の国際的なパートナーと協力している」と述べていた。

特許の承認プロセスの迅速化

米国政府の中国製のクリーンテックに対する懸念は、バイデン政権が先日、中国製EVへの関税を100%に引き上げた際に、太陽光発電設備への関税も50%に引き上げたことからも見て取れる。これらの懲罰的な関税は、進行中の知的財産に関連した訴訟に加わるものとなる。「バッテリー市場の価値が上昇し続ける限り、訴訟は増え続けるだろう」とプレストンは述べている。

一方、バイデン政権は、この分野の主要技術に関する特許の承認プロセスを迅速化する努力も行っている。米国特許商標庁(USPTO)は、「気候変動緩和パイロットプログラム」や「グリーンエネルギー特許プログラム」といったイニシアチブを通じて、気候変動を緩和するためのイノベーションに関する特許の審査を加速させようとしている。

プレストンによれば、米国では過去数年間で、ソーラーパネルやクリーン水素、バッテリーに関する特許出願が劇的に増加したという。「炭素の排出量の削減に向けては、10年から15年前の技術を商業化することも重要だ」と彼女は語った。

また、中国当局も既存の特許の商業化を促進しており、特に「重要なコア技術」に関連する特許に注力している。中国の知的財産局は今年2月、既存の特許出願の特定と促進などを含む作業計画を発表した。

米中双方の再生可能エネルギーやその他の重要なイノベーションの進展には、特許の承認プロセスの効率化が欠かせない。米国の企業や個人が特許をスムーズに取得できるようにすることは、米中間の競争において有用であるだけでなく、新たな投資を促進することにもつながる。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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