英BP、米国の陸上風力発電事業を売却へ

英石油大手BPが米テキサス州フォートストックトンに立ち上げた風力発電所。2012年2月20日撮影(Michael Paulsen/Houston Chronicle via Getty Images)

英石油大手BPは先週、米国で展開する陸上風力発電事業を売却すると発表した。経営を簡素化し、エクソンモービルやシェブロンといった米国の同業他社との競争力を高める取り組みの一環だとしている。BPは米国内のすべての陸上風力発電所をまとめて売却する方針で、同事業に関わる全従業員は、資産とともに買い手に移る予定だと説明した。

同社が米国で権益を保有する風力発電事所は10カ所に上り、うち9カ所を事業部門であるBPウインドエナジーを通じて運営している。10カ所の風力発電所の発電量は合計で1.7ギガワットに達し、すべてが送電網に接続され、現在多くの顧客に電力を供給している。

ただし今回の発表は、BPが陸上風力発電から完全に撤退することを意味するものではない。同社は現在株式の50%を保有している合弁企業ライトソースBPを通じて、風力発電事業の開発を続けるとしている。BPは昨年11月、さまざまな太陽光発電設備を有するライトソースBPの株式を100%取得する計画を発表した。年内に買収が完了すれば、ライトソースBPは今後、世界規模で太陽光発電と風力発電を展開することになる。

BPで天然ガスと低炭素エネルギーを担当するウィリアム・リン執行副社長は、「BPが総合エネルギー企業へと移行する中、再生可能エネルギーは当社の戦略の重要な部分を占めている」としながらも、「BPウインドエナジーの資産は高品質で送電網に接続されているが、ライトソースBPの成長計画とは一致していない」と指摘。その上で、風力発電事業を売却することで、より大きな価値が期待できるとの考えを示した。

BPのマレー・オーキンクロス最高経営責任者(CEO)は7月、雇用の凍結のほか、陸上・洋上を問わず新規風力発電事業への投資も一時的に停止すると発表していた。この戦略的方向転換の背景には、BPの大株主の間で同社の業績に対する不満が広がっているとの報道があった。
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翻訳・編集=安藤清香

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