英BP、米国の陸上風力発電事業を売却へ

BPの経営陣は現在、2020年2月にCEOに就任し、昨年9月に辞任したバーナード・ルーニーが実施した方針の大幅な転換を進めている。ルーニー前CEOは就任当初、同社の中核を担ってきた石油・天然ガス事業から、当時の政治的風潮に後押しされて流行したグリーンエネルギー事業に積極的に移行することを約束していた。しかしその後、あらゆる状況が変化した。たとえば、政府の政策によって強制された化石燃料から風力や太陽光への転換が、急速に大失敗に向かっているという認識の高まりだ。

米国のエクソンモービルやシェブロンのほか、ノルウェーのエクイノールやフランスのトタルエナジーズといったBPの競合他社は昨年以降、資本を本来の中核である石油・天然ガス事業に集中させる計画を打ち出している。こうした傾向は、米テキサス州ヒューストンで昨年3月に開催されたエネルギー業界の国際会議「CERAウィーク」で浮き彫りとなった。同会議では世界の大手石油企業の幹部が一堂に会し、講演を行った。

こうした戦略的方向性を見直す大きなきっかけとなったのは、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、エネルギー安全保障の問題に焦点を絞る必要性が急務となったことだ。また、これらの大手石油企業は、たとえ政府の大盤振る舞いによって風力発電や太陽光発電への投資を後押しされても、こうした事業で採算を取るのに苦心していたことも背景にある。結局、大手石油各社は石油や天然ガスを採掘し、生産物をパイプラインで精製所に運搬し、精製された製品を販売するという従来の事業に注力し直すことを、すでにその時点で決めていたのだ。

一方、BPの経営戦略の方向転換は、社内スキャンダルに巻き込まれたルーニー前CEOが辞任するまで待たねばならなかった。オーキンクロス現CEO率いるBPは今、競合他社の動きに追いつこうと奮闘している。これは大がかりな仕事になるだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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