ショッピングカートほどの大きさで4輪車両のリューチ1両は19日かその少し前、ロシア西部クルスク州にあるロシア側の塹壕を襲撃した。地雷をかわし、機関銃を射撃し、味方の自爆ドローン(無人機)や迫撃砲とも連携しながら、リューチは少人数のロシア軍部隊を破った。
このリューチの運用部隊であるウクライナ特殊作戦軍の独立特殊作戦センター西部(旧・第8特務連隊)第1分遣隊はソーシャルメディアで、「敵の一部は撃破され、残りは逃走しました」と戦果を報告している。「リューチはRPG(対戦車擲弾)やFPV(一人称視点)ドローンを数回被弾しましたが、耐え抜き、任務を完了し、修復のため帰還しました」とも書いている。
ロシアがウクライナに対する戦争を拡大してから2年7カ月近くの間に、ウクライナの技術者らは武装させた無人地上車両をリューチを含めて数種類開発している。リューチは本格戦闘に従事した最初の無人車両のひとつだ。
リューチは操縦士からのコマンド(指示)を受信する無線機、ビデオカメラ、遠隔照準の機関銃などを備え、脆弱なパーツを保護する装甲板などで頑丈につくられている。
ウクライナ政府でイノベーションなどを担当するミハイロ・フェドロウ副首相は5月、リューチについて「ロシア軍の陣地を攻撃し、強襲中にわれわれの防衛者たちを掩護します」と説明している。「軍は制御のしやすさを気に入っていて、このロボットの高性能な無線・動画通信や、昼夜を問わず優れた照準性能を発揮し、自動射撃を行える点も評価しています」と紹介している。
リューチは唯一無二の存在というわけではなく、ロシア軍も武装地上ロボットを保有している。とはいえ、最初の本格戦闘で勝利し、生き残ったリューチは一頭地を抜いている。