これからもオーディオ開発に情熱を傾ける
そもそもダイソンはオーディオ製品の開発に本気なのだろうか? ジェイク・ダイソン氏はインタビューに答えながら、自身も熱心なオーディオファンであることをアピールした。「私は1980年代に一斉を風靡したソニーのウォークマンやパーソナルオーディオコンポーネントの先鋭的なデザインに刺激を受けた世代です。OnTracには当時のオーディオを彷彿とさせるようなデザインエレメントを注入しています。例えば正円形のイヤーカップ(外殻部分)はオーディオコンポーネントのダイアルパーツへのオマージュです」(ダイソン氏)
確かにダイソン氏はオーディオ製品の開発に本気で情熱を傾けているようだ。ならば今後はヘッドホンに限らず、むしろポータブルオーディオ機器としては主流になりつつあるワイヤレスイヤホンも手がける予定はないのだろうか。ダイソン氏に聞くと「ヘッドホンの反響も見ながら、今後のプロダクト展開は慎重に決定したい」という答えが返ってきた。
確かに、オーディオ市場においてはレイトカマーであるダイソンが、すでに飽和状態の市場でこれからブランドの存在感を示すことは容易ではないだろう。だからこそ既成の枠組みにとらわれないアイデアとスピード感が必要なのではないか。
ダイソン氏は「耳のヘルスケア」を1つの突破口にする可能性を言及した。あるいはダイソン氏が成功させたLED照明のプロダクトに関するノウハウと先進技術をホームリスニング用のスピーカーシステムに組み合わせてみてもおもしろいのではないか。ダイソン氏は「LED照明ではインテリジェントに、ユーザーの現在地の自然光をトラキングしながら生活環境に最適な照明環境を届けてきた。ダイソンが得意とする分野の知見を合わせて、これからもユーザーの健康的な生活をサポートしていきたい」と展望を語った。
連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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