17日にセールスフォースのAIカンファレンス『Dreamforce』に登壇したニューサム知事は、同社のCEOマーク・ベニオフとの会談の途中で、事前に用意した3つの法案を取り出して、聴衆が見守る中でそれらに署名した。
そのうちの一つの「下院法案2839」は、選挙の候補者に関する「欺瞞的な音声または視覚メディア」を配布することを違法とするもので、直ちに効力を発揮した。この法律で、候補者はディープフェイク広告を取り下げるための裁判所命令を求めたり、それを配布した人物を訴えたりすることができる。ただし、パロディや風刺であることの開示が含まれている場合は、適用を免除される。
また、「下院法案2655」は、来年施行される予定で、X(旧ツイッター)やフェイスブックのようなオンラインプラットフォームに、政治的ディープフェイクを削除する義務を課す。さらに、「下院法案2355」は、AIで生成または改変されたビジュアルを使用した広告を出す選挙陣営に、その開示を義務付ける。
ニューサム知事は、イーロン・マスクが7月にカマラ・ハリスのキャンペーン動画を改変したものをシェアした後に、「政治的ディープフェイクを取り締まる法案に署名する」と誓っていた。その当時、マスクは「アメリカではパロディは合法だ」とニューサム知事を嘲笑していた。
17日に同知事が法案に署名した後、マスクはXの一連の投稿で知事を激しく非難した。マスクは、再びその改変された動画をシェアし、「信じられないだろうが、ニューサムはこの動画を根拠に、パロディを違法にする法律に署名した」と書き込んだ。
その後、マスクはカリフォルニア州の住民たちに「新たなリーダーシップ」を求め、ハリスのディープフェイク動画を「バイラル化」するようフォロワーに呼びかけた。トランプ元大統領を支持しているマスクはさらに、ハリスを攻撃する右派アカウントの投稿を拡散し、11月の選挙で民主党が勝利すれば「言論の自由が危険にさらされる」と主張した。
ニューサム知事は、カンファレンスの聴衆たちに向けて、「これらの法案は、選挙の公平性を守るために必要不可欠で、長い間待たれていたものだ。選挙は進行中で、早期投票も始まっており、これらの法案への署名は私にとって緊急の課題だった」と語った。
(forbes.com 原文)