「致しかねます」とは？ビジネスでの意味と使う場面
「致しかねます」という表現は、ビジネスシーンにおいて、相手の依頼や提案に対して丁寧に断る際に用いられるフレーズです。特に、直接「できません」と言うのが難しい状況で、この言葉が活躍します。取引先や上司に対して使う際にも、相手への配慮を含んだ表現として適しています。
「致しかねます」は、「致す」（するの謙譲語）と「しかねる」（できない）が組み合わさっており、「することができません」という意味になります。この表現は、ビジネスメールや電話で頻繁に使用され、丁寧に相手に断りを伝えるための重要な言葉です。
「致しかねます」の使い方：例文を用いた説明
1. 「申し訳ございませんが、こちらでは対応致しかねます」
これは、サービス外の依頼や対応不可能な要求に対して使われる表現です。例えば、顧客からの特別な要望に対し、自社の範囲外であることを丁寧に伝える際に使用します。
例文：
「恐れ入りますが、弊社の規定上、そのような対応は致しかねます。」
この場合、単に「できません」と言うよりも、より柔らかく相手に伝わるため、ビジネスシーンではよく使われます。
2. 「大変恐縮ですが、その件についてはお答え致しかねます」
この表現は、機密情報や個人情報に関する質問に対して、回答できない状況で使われます。顧客や取引先が機密情報を求めてきた場合に、拒否しつつも丁寧に対応するための表現です。
例文：
「お客様のご要望にはお応えしたいところですが、個人情報に関しては致しかねます。」
「致しかねます」という表現を使うことで、厳しい内容をソフトに伝えられます。
「致しかねます」と「できかねます」の違いとは？
「致しかねます」と似た表現に「できかねます」がありますが、両者には微妙な違いがあります。「致しかねます」は「致す（する）」の謙譲語で、より敬意を表しながら相手に伝える場合に使います。一方、「できかねます」は「できる」を丁寧に否定した表現であり、少しカジュアルなニュアンスがあります。
例文：
「そのご依頼につきましては、弊社のポリシー上、致しかねます。」
「その対応は当部署ではできかねますので、他の担当者にご連絡ください。」
どちらも断りの表現ですが、「致しかねます」の方が、より敬意を払った場面で使用されます。
「致しかねます」を使う際の注意点
1. クッション言葉を使う
「致しかねます」を使う際、断る表現の前に「恐れ入りますが」「大変恐縮ですが」などのクッション言葉を加えることで、より丁寧な印象を与えます。この一言を添えることで、相手に対する配慮を示すことができ、ビジネスコミュニケーションを円滑に進められます。
例文：
「大変恐れ入りますが、ご依頼の件については対応致しかねます。」
2. 理由を明確に伝える
「致しかねます」を使う際には、断る理由を添えることが重要です。相手にとって納得できる説明を加えることで、相手の理解を得やすくなり、トラブルの発生を防ぐことができます。
例文：
「申し訳ございませんが、現在の社内リソースの都合により、その件については対応致しかねます。」
3. 代替案を提示する
「致しかねます」と断るだけでなく、可能であれば代替案を提示することで、相手に前向きな対応を示すことができます。これにより、単に断るのではなく、相手にとっても良い解決策を提示できます。
例文：
「恐れ入りますが、その件については対応致しかねます。ただし、別の方法でお手伝いできる可能性がございますので、ご相談ください。」
「致しかねます」の言い換え表現
1. 「お受けできません」
「お受けできません」は、より直接的に「受け入れられない」という意思を伝える表現です。シンプルでありながら、相手に対して丁寧に断る場面でよく使われます。
例文：
「大変申し訳ございませんが、そのご依頼はお受けできません。」
2. 「対応いたしかねます」
「対応いたしかねます」は、特定のリクエストや対応が不可能な場合に使われます。相手に対して柔らかく断る表現として非常に有用です。
例文：
「恐れ入りますが、その件につきましては、弊社では対応いたしかねます。」
3. 「ご遠慮申し上げます」
「ご遠慮申し上げます」は、断りの場面で丁寧かつ控えめに使用できる表現です。特に相手の要望に応じられない際に、柔らかく断るのに適しています。
例文：
「申し訳ございませんが、今回の提案についてはご遠慮申し上げます。」
まとめ：ビジネスで「致しかねます」を正しく使いこなそう
「致しかねます」は、ビジネスシーンにおいて相手に対して丁寧に断りを伝えるための重要なフレーズです。この言葉を正しく使うことで、相手に敬意を払いつつ、自分の立場をしっかりと示すことができます。また、クッション言葉や代替案を添えることで、さらに円滑なコミュニケーションを図ることができます。
相手との関係を良好に保ちながら、柔軟に対応するために、状況に応じた言い回しを身につけましょう。
