ビル・タイが語るセカンドライフとLindenドル
ビル・タイ:「2003年頃、暗号通貨の波が来るずっと前に、私は「セカンドライフ(Second Life)」の創設者フィリップ・ローズデールと親交がありました。セカンドライフがスタートした時、ユーザーのエンゲージメントは低く、私はフィリップに「セカンドライフの中に経済を作ろう」と提案しました。ラスベガスを例に取り、何もなかった砂漠がポーカーチップを使って繁栄する経済に変わったことを引き合いに、セカンドライフでも同じように、皆が1ドルのポーカーチップを単純なルールに従って回し合えば、経済が動き始めると提案しました。こうして生まれた通貨が「Lindenドル(リンデンドル)」でした。ユーザーはリンデンドルを使って、仮想世界内で土地やアイテム、サービスを購入できました。さらに、リンデンドルを現実世界の通貨と交換できることも、この仮想世界の経済活動を支える重要な特徴となりました。私のセカンドライフ内のアバターは「アラン・グリーンスパン・ゴーレム(AlanGreenspan Golem)」と名付けました(当時のアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の議長アラン・グリーンスパンにちなんで)。経済の金融政策を管理する人物へのオマージュです。「リンデン」という名前は、サンフランシスコのリンデンアベニューにあった「Linden Labs(リンデンラボ)」という会社でセカンドライフが開発されたことに由来しています。」
リンデンドルは、仮想空間内での経済活動を可能にした最初のバーチャル通貨の一つであり、その発案者がZoomやCanva、Treasure Dataなどのスタートアップに投資していたビル・タイであったことは、彼の先見性を示している。ビル・タイはSaaSスタートアップだけでなく、仮想通貨や仮想世界にも深い洞察を持ち、リンデンドルはオンライン上での価値交換の新しい方法を提示し、暗号通貨の発展にも影響を与えた。
話を聞きながら、サトシ・ナカモトがビットコインを設計する際、リンデンドルの影響を受けた可能性があるのではないか、という考えがまとわりついて離れない。リンデンドルが中央集権的な仕組みであるのに対し、ビットコインは分散型を目指しているが、両者は仮想経済における革新的な取り組みで共通している。ビル・タイがリンデンドルを通じて仮想経済の先駆者であったことは明らかである。