批判的な見方をしている人々は、未実現利益への課税は非常に難しく、すでに負荷がかかっている内国歳入庁(IRS)の負担をさらに増やすことになると述べている。バイデン政権下では民主党が両院で与党だったときですら、この税制案は可決されなかった。ハリスが大統領になってもこの案が進む可能性は低いとの見方もある。ハリス支持を表明している富豪のマーク・キューバンはCNBCに、ハリス陣営とのやり取りから、案は「実現しない 」との見方を示した。シンクタンクのアーバン・ブルッキングス・タックス・ポリシー・センターのスティーブ・ローゼンタール上級研究員は、この案は「政界で支持をほぼ得られていない」とCNBCに語った。
未実現利益への課税を支持する人々は、この案では超富裕層が資産を売却しないことで課税を回避することを防ぐことができると主張している。バイデン政権は、未実現利益への課税が2025〜2034会計年度に約5030億ドル(約71兆円)の税収を生み出すと見積もっている。ハリスはこの案は米国の富裕層に「公平な税負担」を課し、税の不公平が解消すると述べている。ホワイトハウスによると、2010〜2018年の最も裕福な米国人400人が払った連邦税の実効税率は平均8.2%で、連邦所得税の平均は18%強だった。
ヘンリー・アンド・パートナーズCEOのユルグ・ステッフェン博士は「米国は依然として世界でも富豪が多い国で、世界の投資可能資産の30%以上、額にして67兆ドル(約9486兆円)を有している。だがその一方で、外国の永住権や市民権を求める富裕層がかつてなく増えている」と解説する。