日本の宇宙スタートアップispace(アイスペース)は、9月12日、早ければ今年12月にミッション2を打ち上げると発表した。ミッション1の目的は月面着陸のための技術検証だった。そこから得た貴重なデータをもとに慎重に準備が進められているミッション2では、着陸だけでなく月面探査も行われる。
今回、月に送られる着陸船「RESILIENCE」(レジリエンス:復活という意味)には、ispaceの欧州子会社ispace EUROPEが開発した小型探査ローバー「TENACIOUS」(テナシアス:粘り強いという意味)が搭載される。TENACIUSには月の砂(レゴリス)を採取し写真を撮影する機能があり、採取後のレゴリスはNASAに譲渡することになっている。これは、2020年にNASAとの間で締結された月資源商取引プログラムに基づくもので、ispaceが採取したレゴリスをNASAが回収して地球に持ち帰る。
そのほかTENACIOUSには、「ムーンハウス」というかわいらしい家の模型が積まれている。これはスウェーデンのアーティスト、ミカエル・ゲンバーグ氏の作品。同氏は25年前から月面に家を建てるというアートワークを構想していたが、ispaceによって実現されることとなった。TENACIUSはこの家を月面に配置し、写真を撮影するということだ。こうしたアート活動やエンターテインメントは、「人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界を目指す」うえで大切なエッセンスだとispaceは主張している。
このほかRESILIENCEには、高砂熱化学工業の月面用水電解装置、ユーグレナの食料生産実験用自己完結型モジュール、台湾の国立中央大学宇宙科学工学科が開発した深宇宙放射線プローブ、バンダイナムコ研究所のGOI宇宙世紀憲章プレートが搭載される予定だ。
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