世界的ゲーム企業への道
ゲームサイエンス創業者のフェンは、現地メディアの報道によると、かつてゲームをプレイするために学校をさぼり、『World of Warcraft(ワールド オブ ウォークラフト)』に全財産をつぎ込んだこともあったという。また、彼は中国のトップクラスの大学である華中科技大学で生物医学を専攻したが、ゲームに集中するために大学院への進学を諦めたとされている。フェンは、2005年に深センの小さなゲームスタジオに就職し、3年後にテンセントに移り孫悟空の伝説に基づくモバイルゲームの開発をリードした。このゲームは、初期の段階では好評だったが、ゲーム内課金の価格が高すぎるとの批判を受け、失敗に終わったとされる。彼はその後、テンセントを離れ、6人の元同僚とともに2014年にゲームサイエンスを設立した。
同社はその後、2つのモバイルゲームを開発したが、どちらも成功には至らなかった。新華社との最近のインタビューで、フェンは「常にビッグバジェットのPCタイトル、いわゆる3A(AAA)ゲームを作りたいと夢見ていた」と語っている。
2017年には、北京を拠点とするゲーム開発会社のヒーローゲームズが6000万元(約12億円)でゲームサイエンス株の20%を取得し、同社の最大の外部株主となった。また、2021年に同社が『黒神話:悟空』のトレーラーを公開した年に、テンセントが非公開の金額で5%の株式を取得したと報じられた。現地メディアはこの投資額を3億5000万元(約69億円)と推定している。
アナリストたちは、『黒神話:悟空』のヒットにもかかわらず、ゲームサイエンスがグローバルで支持されるスタジオになるのはまだ先だと見ている。上海のリサーチ会社86Researchのチャーリー・チャイは、このゲームの成功には、中国の文化的遺産が大きく寄与していると述べ、それが西洋のヒット作とは異なる点だと指摘した。Omdiaの推定によると、Steamプラットフォームでの『黒神話:悟空』の購入の約90%は中華圏からのものだった。
しかし、チャイを含むアナリストたちは、ゲームサイエンスが大きな可能性を秘めていることに同意している。また、上海を拠点とするリサーチ会社Niko Partnersのゼン・シャオフェンは、『黒神話:悟空』の売上が口コミのおかげで海外でも増加するはずだと述べている。
「このゲームは、中国のゲームスタジオが西洋や日本の大手と直接競争する準備ができていることを示している。このゲームの成功は無視できない」と、ゼンは語った。
(forbes.com 原文)