ウクライナ軍部隊の侵入は当初、短時間の深度の浅い襲撃とみられたが、実際にはロシア側による一帯の支配にとってはるかに危険なものに発展した。ウクライナ軍の装甲トラックなどはノービプーチ村からさらに北上し、数km先のベショロエ村近くまで一気に進んだ。ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は15日の作戦状況評価で、ウクライナ軍は「ベショロエの南郊に到達し、この村を実質的に支配下に置いた」と報告している。
14日までにウクライナ軍の戦車がベショロエ村内に進撃した。15日にはウクライナ空軍の戦闘爆撃機が、ロシア軍の陣地とされる村中心部の建物を衛星誘導の滑空爆弾で爆撃し、破壊した。使われたのは米国製の精密誘導爆弾とみられている。その様子を上空からドローン(無人機)で監視していたウクライナ軍のドローン部隊「コーン・グループ」は、ロシア側に向けて「お前たちのことはひとり残さず見ているぞ」とソーシャルメディアに書き込んでいる。
Airstrike on Russian positions in Vesoloe, Kursk region.
— Special Kherson Cat 🐈🇺🇦 (@bayraktar_1love) September 15, 2024
(51.2888146, 34.5462134)https://t.co/qBYsuBo4be pic.twitter.com/8zerENx2sS
8月上旬に始まったウクライナ軍によるクルスク侵攻で、ロシア軍の北方軍集団が当初、防御を徴集兵に大きく依存していたことは、ウクライナ側が急速に前進できた理由のひとつだった。ロシア軍がベショロエ方面の防御も、準備の整っていない20歳前後が中心とみられる若年兵に頼っているらしいというのは、ロシアにとって不吉な兆候だ。
ロシア側がベショロエ方面でも東方のウクライナ側突出部と同様の対応をとるとすれば、ウクライナ軍の進撃を鈍らせるべく、より練度の高い空挺部隊を投入することになるかもしれない。コーン・グループは「徴集兵と空挺兵をもっと連れてこい」と挑発している。