専門誌Nature Astronomyに掲載された、今回の研究をまとめた論文によると、あらゆる銀河の周囲を取り巻くハロー領域を満たしているガスは、非常に遠距離まで広がっている可能性があることが明らかになった。
だとすると、約40億年後に衝突すると考えられている銀河系とアンドロメダ銀河は、すでに相互作用が進行しているかもしれないのだ。
銀河周辺物質(CGM)
今回の重要な研究結果は、天文学者がこれまで考えていたよりもはるかに銀河が大きいことだ。豪スウィンバーン工科大学などの研究チームは、約2億7000万光年の距離にあるスターバースト銀河(大質量星が短期間に爆発的に形成されている銀河)IRAS 08339+6517を覆っている銀河周辺物質(CGM)と呼ばれるガスを調査した。銀河内の恒星を取り巻くハロー領域のCGMガスは、銀河の質量の約70%を占めていることがわかっているが、観測が極めて困難なことで知られている。最新の深宇宙撮像技術により、研究チームはIRAS 08339+6517のCGMガスを撮影し、ピクセル単位で詳細に調査することができた。銀河を取り巻くハロー領域のCGMガスの撮影に成功したのは、今回が初めてのことだ。
比類のない画像
研究チームは、この比類のない画像を目にして唖然とした。IRAS 08339+6517の恒星と光は、銀河の中心から7800光年の距離まで広がっていた一方、ガスの輝線の広がりは中心から10万光年離れた宇宙空間まで達していた。論文の筆頭執筆者で、スウィンバーン工科大と豪州の天体物理学研究センターASTRO 3Dと米オクラホマ大学に所属するニコル・M・ニールセンは「観測したあらゆる場所で、ガスが見つかった。これには心躍らされ、そして少し驚かされた」と話している。「今見えているのは、この銀河の影響が及ばなくなる場所で、銀河を取り巻いているものの方の一部となる遷移領域であり、最終的に、より広大な宇宙の大規模構造である宇宙網で他の銀河とつながることになる」