アジア

2024.09.16 16:00

SNSの新スター「カバの赤ちゃん」はなぜ多くの人の心をつかんでいるのか

コビトカバのムーデン(Chaiwat Subprasom / Shutterstock.com)

ムーデン人気の背景

ムーデンが有名になったのは、フォロワー数250万人以上を誇るとあるTikTokアカウントのおかげだ。このアカウントはカバやカオキアオ動物園の他の動物の動画を定期的に投稿している。
advertisement

ムーデンはかなり遊び好きという話だが、ムーデンの人気の秘密は単純だ。本物の生き物というよりポケモンのキャラクターのようで、本当にかわいいからだ。
ムーデンの小さくてつやつやした体は赤ちゃんのようにむっちりしていて、大きくて表情豊かな顔は愛らしい動物のイラストを描きたい人にとってこれ以上ない被写体だ。
ムーデンが有名になったのには別の要因もありそうだ。ムーデン絡みのコンテンツは、SNSのタイムラインから多くの不快なコンテンツを一掃する「タイムラインの浄化剤」のようなものという声もある。
ムーデンのコンテンツを何回も閲覧することで、ユーザーの興味や関心に沿うものを表示するアルゴリズムがリセットされる。これにより、現在ネットのあちこちで見られる反発や怒り、論争が部分的に表示されなくなる。

心塞ぐようなニュースが世界にあふれる今、かわいらしい動物の写真を眺めることで癒しや求めていたときめきが得られる。
だが、ネット上で有名になることには負の側面もある。SNSへの歌の投稿をきっかけにブレイクした米歌手のチャペル・ローンは、一線を越えてプライバシーを侵害する執拗なファンを非難し、これをきっかけに他の有名人も同じように声を上げた。
advertisement

残念ながらムーデンも、取り憑かれたようなファンの行為で危険な目に遭っている。ムーデンに会いに来た人の一部は乱暴になり、ムーデンの注意を引くために食べ物を投げつけたこともあったようだ。寝ているムーデンに来園者が水をかけたところをとらえた映像はSNS上で広く反発を招いた。

カオキアオ動物園の園長は来園者にマナーを守るよう呼びかけている。また、ムーデンの囲いの周囲に複数の監視カメラを設置したことを明らかにしてムーデンの身を心配しているファンを安心させた。

コビトカバは絶滅危惧種で、野生の頭数は3000頭以下とされている。自然保護活動家らは、ムーデン人気がコビトカバについて学ぶきっかけになることを願っている。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事