ウクライナ軍が8月6日に仕掛けたクルスク州への奇襲侵攻の小規模版とも言える新たな奇襲作戦は、ドローンから撮影された短い映像数本という当初の証拠からうかがわれるよりも、はるかに大きな成功を収めていたようだ。
Footage of Ukrainian engineering & infantry mobility vehicles reportedly during attacks near the border between Sumy Oblast and Kursk Oblast's Glushkovsky District. The first video an IMR-2 engineering vehicle clearing dragon's teeth on the Kursk-Sumy border (51.243014,34.513370)… pic.twitter.com/msXVobQ4wP
— John Hardie (@JohnH105) September 12, 2024
突破作戦を支援したウクライナ軍のドローン部隊「コーン・グループ(Khorne Group)」はロシア国防省の主張を否定し、この作戦に関する本メディアなどの報道を批判した。ロシア国防省の主張を引用した記者らについて「情報不足でヒステリーを起こしているか、金をもらってロシアびいきの心理戦に加担している」と主張した。
ウクライナ軍による侵入がすぐに撃退されたのではなかった証拠として、コーン・グループはより長い映像を公開した。映像には、ウクライナ軍の装甲車両の車列が突破口から突き進み、ウクライナとの国境から5kmほどのクルスク州ベショロエ村に向かう道路を疾走している様子が映っている。
Footage of a new breakthrough by Ukrainian forces in the Kursk region, in the direction of the village of Veseloehttps://t.co/IFE5qqxbAA pic.twitter.com/wyi8OscpoJ
— Special Kherson Cat 🐈🇺🇦 (@bayraktar_1love) September 13, 2024
ウクライナ軍部隊が12日あるいは13日にさらに前進したのかは不明であり、14日になってもベショロエやその近辺にとどまっていたのかもわからない。
「ロシア兵1000人超に包囲迫る」と主張
コーン・グループは「われわれはロシアの新たな地域に何kmも進撃した」と力を誇示し、「1000人以上のロシア徴集兵部隊が包囲に瀕している」とも主張した。この主張は現時点で独自に検証できていない。とはいえ、はっきりしているのは、ウクライナ軍が12日に少なくとも数時間は、このひと月あまりで2回目となるロシアへの侵攻を行ったということだ。これは、ロシア軍がクルスク州のウクライナ側突出部に対して反撃を開始した翌日のことだった。ロシア側はこの反撃で、これまでに突出部の縁あたりの数集落を奪い返している。
ウクライナ軍によるベショロエ方面作戦が、クルスク州の突出部一帯で続く両軍の混沌とした戦闘のダイナミクスにどのような影響を与えるのかは見通せない。ウクライナ側にとっては、この新たな越境攻撃によって、ロシア軍が東方で進めている反撃を牽制し、兵力の分散などを誘うというのが最善のシナリオだろう。
反対に最悪のケースは、ロシア国防省の主張どおり、ウクライナ軍部隊はベショロエ方面に一時的に侵入したものの、すでに退却に終わったというものだ。
(forbes.com 原文)