UNDER 30

2024.11.02 15:15

「ゴジラ-1.0」の米国ヒットは歴史の第一歩だった【野島達司】│聞き手:髙比良くるま&シャラ ラジマ

白組の野島達司

白組の野島達司

「世界を変える30歳未満」を30人選出するForbes JAPAN 30 UNDER 30では、音声配信番組「3003 -サンゼロゼロサン- 」を配信中。

博報堂DYメディアパートナーズが運営するカルチャーオーディオメディア「Artistspoken」との共同コンテンツで、お笑い芸人の髙比良くるま(令和ロマン)をメインMCに、30 UNDER 30の受賞者たちがパーソナリティを務める。

9月15日に配信された#4の放送では、#3から引き続き月間MCにモデルのシャラ ラジマ、ゲストにエフェクトアーティストの野島達司(白組)を迎えた。映画『ゴジラ-1.0』の水のエフェクトで、アカデミー賞視覚効果部門を受賞し2024年の「30 UNDER 30」にも選出された野島が語る、日本と世界のCG事情とは。放送の様子を記事でもお届けする。

*「3003」はArtistspokenのアプリのほかPodcast、Spotifyなどで毎週日曜22時から配信中
SEE
ALSO

#4 エフェクトアーティスト野島達司 応用編 MC:令和ロマン髙比良くるま&シャララジマ

>>野島達司さんゲスト回前編はこちら

CGは誰がどうやってつくってる?

髙比良:この番組は、毎年Forbes JAPANが発表している「世界を変える30歳未満」の30人「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」に選ばれた各界の若きプロフェッショナルをお呼びして、彼らがどう世界を変えていくのか、どんなことを考え挑戦しようとしているのかを深掘っていくとともに、彼らが直面する悩みや課題を聞き出しながら、リスナーと一緒に解決方法を考えていこうという課題解決型のポッドキャスト番組です。

シャラ:今日も先週に引き続き野島達司さんに来ていただいております。よろしくお願いします。

野島:よろしくお願いします。

髙比良:先週は30個質問して、生い立ちだったりとか、洗車をしてるとか、グラスを家で終わっちゃったとか、かわいらしい話も聞きましたね。

シャラ:そもそもVFX(Visual Effects)というか、映画業界のことをまだあんまりわかってないから、聞いてみたいですね。私は今回野島さんのことを(初めて)知って、VFXの世界を知ったので。

野島:そうですよね。やっぱりアカデミー賞のおかげで、ちょっとだけ認知してもらえたかなと思うんですけど、これから目指してくれる若い人たちに響いているのかはまだわからないですね。

髙比良:僕はCGって言葉を何となく小学校ぐらいの時に知って、これがアニメでこれがCGなんだって思ってました。

野島:僕もそんな感じでした。でもCGって誰がつくってるんだろうっていう疑問はありました。人間がつくってるのかどうかもわからなくて。CGで出来上がったものだけが世の中に出てきて、つくり手のことは誰も知らないですよね。でも、ちゃんと会社があって、こうやってつくるんだって知りました。

シャラ:かなり新しい技術っていうことですよね、映画の世界の中でも。

野島:そうですね、でも僕がいる白組という会社はもう50周年ぐらいで。

シャラ:50周年!? そんな昔からあるんですね。

野島:当時はミニチュアのコマ撮り映像をつくってて、いつからかCGになっていった感じですね。

髙比良:やっぱり山崎貴監督のイメージがありますよね。

野島:はい、山崎さんも最初はミニチュアメーカーとしての白組に入社してたんですけど、そこから映画監督やりたいってなって、調布スタジオでCGを組み合わせながら映画をつくる企画を出してって感じですね。

髙比良:今は映画のCGをつくる集団って感じなんですか?

野島:そうですね、でも調布スタジオはまだミニチュアの文化が残ってます。

シャラ:なるほど。

CGをつくる人と合わせる人

髙比良:さっき、全員クリエイターだと聞きました。今日来ていただいてるマネージャーさんみたいな方までそうだと伺って、すごいなと思いました。

野島:逆にこういう機会はなかなかなかったので(笑)

シャラ:野島さんは水のVFXを趣味でやってたっていう話だったから、みんなナチュラルにマルチタスクをこなしてるんだなって思いました。能力高くないですか?

野島:そうかもしれません。でもその分デメリットもあって、いろいろ手がけると一つを突き抜けられないっていう。

シャラ:野島さんは特化型に向かっていきたいんですか?

野島:僕は本当はコンポジターとして特化していくつもりだったんですけど、趣味でやってた水のシミュレーションと今両方やってる状態で。

髙比良:(『ゴジラ-1.0』の)水のシミュレーションをしたりする人がエフェクトアーティストで、コンポジターはどういった仕事なんですか?

野島:コンポジターはCGを合成する仕事です。コンピュータでモデリングしてアニメーションとかつけて画像を生成することをレンダリングって言うんですよ。CGは素材なのでそれを実際に合成しなきゃ意味がないんです。でもその合成のところって結構特殊なんですよね。単純に重ねるだけじゃ全然駄目。うまくなじませて、明るさとか色とか調整してそれっぽく仕上げるのがコンポジターの仕事です。なので大きく分けるとCGとコンポの2つになります。

シャラ:CGをつくる人と合わせる人とで分かれてるんですね。やっと理解してきました。

髙比良:CGをつくる人が全部やってると思ってました。

野島:かつてはそうだったみたいですね。

髙比良:それが分かれたことによってよりレベルが上がってきてるんですね。
次ページ > どこがCGでどこがCGじゃないか分かる?

文=田淵美有 写真=加古伸弥

連載

3003 ‐サンゼロゼロサン‐

ForbesBrandVoice

人気記事