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欧州

2024.09.13 18:00

ロ軍反撃のクルスク州、ウクライナ軍がHIMARSで小隊撃破 一部で前進許す

クルスク戦線の状況は混沌としている。この方面の両軍の戦力組成についても同じことが言える。ウクライナ側は陸軍や空中強襲(空挺)軍、領土防衛隊などの大隊の混成部隊となっている。ロシア側はそれに輪をかけて雑多な部隊の寄せ集めとなっており、フロンテリジェンス・インサイトはそれを「部隊のサラダ」と評している。「さまざまな師団と旅団から引き抜かれた大隊や連隊で主に構成され、これらの部隊が同じ地域でつなぎ合わされている」という。

このような即席の戦力組成はロシア軍にとって問題になるかもしれない。フロンテリジェンス・インサイトは「こうした仕方で組成された戦力は一般に、統一された指揮系統と調整が確立するまでは大きな攻撃力を欠く」と指摘し、「これはロシア軍で積年の課題であるだけに、短期間での大幅な改善は見込めない」と続けている。

フロンテリジェンス・インサイトはその一方で、「だからといってロシア側に攻撃力がないということにはならない」とも警告している。

ロシア軍はウクライナに全面侵攻してから2年7カ月近くの間に膨大な損害を出しながら、なお人員や車両の面でウクライナに対して優位に立っている。ただ、クルスク州ではウクライナ軍が防御側というメリットによって、ロシア軍の数的優位を減殺できる立場にある。

フロンテリジェンス・インサイトは「ウクライナ軍は柔軟な防御戦術から大きな恩恵を受けている。それによって、固定的な対決でロシア軍の大砲や戦術ミサイル、航空戦力に戦場を支配されるのを回避できる」と解説している。ウクライナ軍部隊は、ある場所を守るため最後まで戦い抜くのではなく、しばらく戦って、敵に圧倒されそうになればより防御しやすい別の陣地に移動する、という戦い方をしている。

ただし「こうした機動防御戦術はメリットがある半面、問題が生じることもある」とフロンテリジェンス・インサイトは警鐘を鳴らしている。十分な規模のロシア軍部隊が複数の方向から同時に攻撃してきた場合、ウクライナ側は後方陣地が足りなくなるおそれがあり、「ウクライナ側が防御に成功する可能性は著しく低下しかねない」からだ。

この危険性はウクライナ軍の指揮官たちも理解している。だからこそウクライナ側は、セイム川の浮橋をはじめ、ロシア軍の増援部隊が通りそうな経路をドローンで注意深く監視し、自軍最高峰のロケット砲に、増援部隊を最前線に到達する前に撃破する態勢をとらせている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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