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2024.09.18 17:45

まちづくりは共創的思考を働かせよ! コ・クリエイションシンキングの実践方法

近年、不確実であいまいなプロジェクトが増加しています。お題は決まっているものの、クライアント側の意図もあまり定かではないが「まちを盛り上げたい」、「地域の中で大切とわかっているけど、社会資本*をどのように活かしてまちづくりに取り組めばいいかわからない」という相談も多くあります。

(*ここでいう社会資本は社会的ネットワークにおける人間関係のことを指す。社会の信頼関係、ネットワークといった人間の協調行動が活発化し、社会の効率性が高まることで人々がもつ信頼関係や人間関係を表している。)

社会資本が重要視される時代に

ありがたいことに私は大阪府が主催している市町村職員や支援機関向けの研修「EG(エコノミックガーデニング)おおさか」で毎年、講師を務めています。
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​​地域をゆっくりかき混ぜる 八尾発まちづくり「やお糠床モデル」とは

私も八尾市職員時代に産業政策課に異動したばかりの時、この「EGおおさか」の研修にいち参加者として参加しました。それが時を経て、今度は、まちづくりの実践者として講師をここ4年ほどお声かけいただいています。

大切にしていることは「まちの社会資本の見える化」です。どうやるんだ?とよく聞かれることがありますが、その答えは、とにかく自分の部署や事業の関係者に会って会って会いまくることなんです。

中小企業支援の担当をしているのなら、国や都道府県、市町村などの統計データ、アンケート調査などもふまえて、課題がおおまかには設定されています。例えば、「人材育成」に課題があるというデータがあれば、「人材育成」のカテゴリーの中で何が問題で、その根本にあるものは何かという課題認識をもち、その課題を抱えている人々に会いに行くこと。そうすることで一言で訳されてしまった「人材育成に課題」という漠然としたところから、生の声を聞き、解像度をあげていく。一社だけでは、その企業の個別の課題となってしまうので、N値を増やすために、さらに企業訪問を繰り返し、課題の根幹みたいなものが見えるまで「問題の蓄積」を行います。
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​​地域をゆっくりかき混ぜる 八尾発まちづくり「やお糠床モデル」とは | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

予算ゼロでもできることを考える

そのあと、だんだんと問題の本質が見えてきたら、仮説を立てて、解決策を小さく実践してみたり、人を紹介したり、0円でもできることを考えてみる。

課題の道筋をつくることを私は「妄想」と呼んでいて、こうした「妄想ゲーム」を行政時代も、今もよくしています。例えば自分がこんな支援を開始すれば、喜ぶ人がいる。その人がどんな喜び方をすればそのプロジェクトのゴールなのか。どんな方法で解決に向かえば、一番、安く済むのか。そんな方法なら予算や支援が無くなった後でも持続的な活動につながるのかなど、モヤモヤ考える時間が事業やプロジェクトを立ち上げる時には重要だと考えています。

次ページ > 仮説を立て、その仮説を信じ、行動すること

文=松尾泰貴

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