フォレストが支援する、ロンドン証券取引所に上場している探鉱会社グレートランド・ゴールドは、西オーストラリア州にある金鉱山のテルファーを、米国に拠点を置くニューモントから4億7500万ドル(約674億円)で買収することに合意した。
数カ月にわたり水面下で進められていたこの取引は、ロンドン上場の金鉱会社Centaminをアングロゴールド・アシャンティが25億ドル(約3570億円)で買収することに合意した直後に発表された。
金業界における今回の統合の波は、昨年ニューモントがオーストラリアのニュークレストを190億ドル(約2兆6900億円)で買収したことに端を発している。この取引には、かつては豊富な金鉱石を産出したが、老朽化が進んでいるテルファー鉱山も含まれていた。
ニューモントは、テルファーを余剰資産とみなし、隣接する未開発のハビロン(Havieron)プロジェクトの70%の権益を含む売却プロセスを開始した。
グレートランドは、ハビロンの残りの30%を所有していたため、テルファーの自然な買い手ではあった。テルファーには大規模だが十分に活用されていない鉱石処理システムがあり、これを利用してテルファーの残存鉱石とハビロンからの新たな鉱石を処理する予定だ。
比較的小規模なグレートランドにとって、テルファーの買収費用は常に課題だった。4億7500万ドル(約674億円)という買収価格は、グレートランドの現在の株式市場価値とほぼ同額である。
グレートランドの資金調達
フォレストがグレートランドの8.5%の株式を保有し、彼の親しい関係者が取締役会に座っていることが、テルファー買収に向けた資金調達の鍵となっている。フォレストにとって、金鉱山の追加は転換点となるだろう。彼は、中国の需要減退により急激に価格が下落している鉄鉱石への依存を減らすべく、事業の多角化を進めている。
これまでの彼の多角化の試みは、主にエネルギー分野に焦点を当てており、太陽光発電や風力タービンへの投資などがある。そして再生可能電力を使用して製造するグリーン水素(環境に優しい水素燃料)の商業化といったあまり成功しなかった取り組みなども含まれる。
鉄鉱石の価格下落と金の価格上昇
グレートランドによるテルファーの買収は、金価格が前年同期比で37%上昇し、鉄鉱石価格が同様に37%下落するという状況下で行われた。鉄鉱石価格の急落により、フォレストの主要資産であるフォーテスキュー・メタルズ・グループの株価は、年初来45%も下落している。
ハビロン鉱床からの鉱石を用いたテルファー・プロジェクトの再開発計画を含む金鉱事業は、フォレストにとって、今後低迷が予想される中国の鉄鉱石需要に依存しない、新たな成功事業となる可能性を秘めている。
オランダの大手銀行INGは中央欧州時間9月10日、鉄鉱石価格が下落し続ける可能性があると警告しており、過去12カ月間で190億ドル(約2兆6900億円)から135億ドル(約1兆9100億円)に減少したフォレストとその一族の資産にさらなる圧力がかかる可能性がある。
金資産の追加は、フォレストの富の減少を安定させることができるだろう。
(forbes.com 原文)