第47機械化旅団はかねて新たな車両を切実に必要としていた。昨年、保有するレオパルト2A6やレオパルト2Rの多くを失ったあとは、残りの戦車を別の旅団に譲り、代わりに米国からM1エイブラムス戦車31両とM1 ABV(アサルト・ブリーチャー・ビークル)地雷除去車6両ほどを導入している。
一方で、数十両を撃破されたり鹵獲されたりしてきたブラッドレーに関しては、新たなブラッドレーで補充してきている。ここからも、ウクライナ軍でブラッドレーの重要性が高まっていることがうかがえる。
ロシアが対ウクライナ戦争を拡大してから2年半余りの間に、ウクライナが支援諸国から受け取ったさまざまな戦闘車両の中でも、機動性、防護、火力のバランスのとれたブラッドレーは、ウクライナ軍が最も気に入っている車両かもしれない。ウクライナ政府の募金プラットフォーム「ユナイテッド24」が制作したドキュメンタリーで、ブラッドレーの経験豊富な車長は「時計のように動く」とその信頼性を高く評価している。
第47機械化旅団にとって、ブラッドレーは恵みであると同時に呪いでもある。ウクライナ軍でブラッドレーを実際に運用している部隊は、わかっている限り第47機械化旅団しかない。実戦配備数は3個旅団で最大100両ほどのはずだ。
そして、ウクライナ軍参謀本部が第47機械化旅団を戦闘に送り込み続けているのは、ブラッドレーを保有しているからだと言ってもよい。昨年10月、ロシア軍の強力な軍勢がドネツク州のアウジーウカ─ポクロウシク軸で攻勢を始めると、参謀本部は当時南部にいた第47機械化旅団に東部へ急行して防衛に参加するよう命じた。