リーダーシップ

2024.09.15 11:15

業務効率化の鍵「心の知能指数」に立ち後れる日本企業

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近ごろ世界の企業では、EQ(心の知能指数)が重要視されている。EQとは、とくに職場においては、感情的にならず人の話をよく聞いてチームをまとめ、最善策を導き出せる能力とも言える。観音様のような人格者をイメージするかもしれないが、ある程度は訓練で養える。そこで世界の企業は社員のEQスキルを磨き、EQを活用したプロジェクト管理業務を積極的に推進している。では、具体的にどのような効果があるのか。日本ではどの程度浸透しているのだろうか。

SaaSやソフトウェアの製品の比較サイト「Capterra」(キャプテラ)は、世界12カ国のプロジェクトマネージャー(PM)2500人を対象にEQに関するアンケート調査を行った(そのうち日本の対象者は200人)。それによると、PMの96パーセントが「チームのEQの高さが目標達成能力にプラスの影響を与える」と考えていることがわかった。

なかでもEQスキルが効果的に活用される場面を尋ねると、上位3つが問題解決(54パーセント)、リスク管理(50パーセント)、チーム管理(49パーセント)だった。

また、日本のPMの66パーセントが人間関係の管理に苦労しているとのことだ。さらに、他者への働きかけ、コンフリクト解消にも課題を感じている。人間関係のトラブルほど神経をすり減らされるものはない。そこでEQが活躍する。PMばかりでなく、チーム全体でEQスキルの訓練ができれば、業務環境はぐっと改善されるだろう。

ただ心配もある。プロジェクト管理にEQを導入しているかを尋ねると、「つねに」と「多く」を合わせて12カ国平均で95パーセントにのぼるのに対して、日本は80パーセント。けっこう多いように思われるが、12カ国中最低の割合だ。しかも、以前よりもEQの活用が増えたかとの問いに、「増加した」との答えは12カ国平均は85パーセントだったのに対して日本は72パーセント。追いつくどころかどんどん差がつく恐れがあるのだ。

他国企業がEQを積極的に取り入れて効率化を進める一方、もう半ばアルアルになってしまった日本企業の業務効率化に関する「立ち後れ」がここにも見られる形だ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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