経営・戦略

2024.09.19 15:15

「郵便局2万軒修理」にAI導入、日本郵政建築xスタートアップの意外な初動

エーアイスクエア プロジェクト管理本部 FM企画部 担当部長 土田真一郎(左)、執行役員営業部部長 金澤光雄(中央左)、取締役 堀友彦(中央右)、日本郵政建築 業務管理本部 経営企画部部長 馬場正明(右)

連携上の課題とAI技術のエーアイスクエアのアプローチ


インタビュアー:日本郵政建築が全国8カ所の支社と連携する上での課題とは何でしょうか?

日本郵政建築 馬場:支社と営繕(建築物の営造と修繕)の連携をする上で一番大きな課題は、「業務フローの統一化」です。

各拠点で行っている営繕の支援業務(営繕サポート業務)は、業務マニュアルに沿って行っていますが、拠点の独自の工夫により様々なルールが追加されている状態でした。この地域ごとの独自のルールが、「業務フローの統一化」の大きな障害となります。


また、細かなルールをまとめた資料があるわけでもなく、業務をしながら習得する形を取っていたため、担当者の異動により業務品質の維持が困難なケースも多々ありました。

インタビュアー:それらの経緯がAI活用による顧客体験の向上を得意とするエーアイスクエアへの連携につながったと思いますが、今回の取組みにおける、エーアイスクエアへの当初の期待とは何だったでしょうか?

日本郵政建築 土田:最初に相談させていただいたのは、営繕サポート業務の集約化のご相談よりも、営繕サポート業務のうち、日本郵政建築㈱本社・支社が携わる重要な理由である「見積り審査」に関しての相談でした。

日本郵政グループでは、全国の郵便局を中心に、さきほど申し上げた通り、毎年約7万件の修繕工事が発生しています。日本郵政建築本社・支社では、個々の修繕工事見積りに対し、技術的な審査(費用・作業工数などの適性さの確認)を行っていますが、各施設・設備の故障及び劣化状況、設備仕様、見積りを提出する工事業者の得意分野などにより、同様の修繕工事内容であっても、1つとして同じ見積りにはなりません。

その審査業務の負荷は、日本郵政建築本社・支社にとって相当なものになっており、また、審査プロセスも暗黙知化されたノウハウが多く、体系化されにくいものでした。日本郵政グループのサービスとして継続するには、一定の品質を確保することが肝要です。品質の維持をいつまでも暗黙知に頼っていては、いずれ、ほころびが出るでしょう。

この暗黙知の顕在化・体系化について、AIをはじめとした革新的な技術を適用できないかと、相談を持ち掛けたのが、今回の取組みのきっかけです。

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