生産拡大が次の段階
ウクライナは過去に、英国から供与されたバンシー標的ドローンを自爆ドローンに改造したものなど、ジェット推進式のドローンをいくつか用いている。これらは明らかにウクライナ製であり、おそらくバンシーをベースにしたものだろうが、いずれにせよ少数しか使われていない。パリャヌィツャは大量使用に向けて、より簡素な設計になっている可能性が高い。⚡️🇬🇧/🇺🇦British-made QinetiQ Banshee Jet 80+ UAV shot down by 🇷🇺Russian electronic warfare. The drone is intended for use as an aerial target and has a range of over 100 km. The Russians claim that the UAV was carrying a 7 kg explosive warhead and was landed in the Novoazovsky… pic.twitter.com/HQy5aI4kNY
— 🪖MilitaryNewsUA🇺🇦 (@front_ukrainian) February 19, 2024
ウクライナは7月、長距離攻撃ドローンの発射数で初めてロシアを上回った。8月には双方が長距離攻撃ドローンの発射ペースを速めたが、この分野では、量産に最適化された設計をし、分散型の生産体制になっているウクライナに分がありそうだ。
ウクライナのドローン部門を統括するミハイロ・フェドロウ副首相兼デジタル変革相はAP通信に、次のステップはパリャヌィツャの生産を拡大することだと述べている。とっておきの兵器を少数手元に用意するというのではなく、相当数の確保にも注力する考えだ。
これは、ウクライナが黒海で自爆型の水上ドローン(無人艇)によるロシア艦艇への襲撃を繰り返していることや、各地の前線でFPV(一人称視点)ドローンを1日に3000機以上使っている戦術面の状況とも通じる動きと言える。
個々のパリャヌィツャは、西側諸国で採用されている高価で精巧な兵器よりも効果が低いかもしれないが、30機のパリャヌィツャは100万ドル(約1億4000万円)する1発のATACMSよりも大きな損害を与えられる可能性がある。また、ATACMSは1発のミサイルで迎撃できるのに対して、ドローンの大量攻撃では一部は防空網をすり抜ける可能性が高い。もちろんATACMSのほうが弾頭は格段に大きいわけだが、マリノフカ航空基地やその他の場所で見られてきたとおり、駐機中の航空機を破壊したり燃料貯蔵庫に火災を引き起こしたりするのには、20kgがそこらの弾頭でも十分すぎるほどだ。
ウクライナでは、ジェット推進式のドローンがさらに進化すると見込まれる。ターボファンを搭載して射程を大幅に伸ばしたタイプや、ヘリコプターを含む航空機の迎撃機などが登場するかもしれない。ドローン技術は進化を続けており、そのポテンシャルはまだうかがい知れないところがある。
フェドロウは、パリャヌィツャは「ゲームチェンジャー」になるとの考えを示している。ゲームチェンジャーという言葉はこの戦争で使われすぎだが、もしパリャヌィツャによってロシアの航空戦力を無力化し、空中発射のミサイルや滑空爆弾による集中爆撃を阻止できれば、彼は正しかったということになるだろう。
(forbes.com 原文)