さて、次なる天文イベントは何かといえば、彗星を肉眼で見る貴重な機会がまもなく訪れる。9月下旬から10月にかけて、紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)が太陽系内にやってくるのだ。
明るさを増す彗星
現在、紫金山・アトラス彗星は南半球でのみ観測できる。太陽に最接近する前に崩壊する可能性も示唆されていたが、天文情報サイトのSky&Telescopeによれば、現在も徐々に増光しているようだ。彗星の明るさを予測するのは難しい。非常に明るくなることもあれば、まったく見えなくなってしまうこともある。紫金山・アトラス彗星は金星を上回るマイナス5等級まで明るくなる可能性も指摘されており、そうなれば肉眼で見える。もっとも、1等級の明るさしかなかったとしても夜空に輝くほとんどの星々の20倍は明るいので、双眼鏡を使えば観察できる。
天体観測サイトのVirtual Telescope Projectは今年6月1日、紫金山・アトラス彗星の撮影に成功している。
いつ、どこに見えるか
紫金山・アトラス彗星は、9月27日ごろに太陽から約5800万kmの距離で近日点に到達した後、10月12日ごろに地球に最接近する。北半球から彗星を見られるのは、以下の期間だ。・夜明け前の東の空:9月27日~10月2日
日の出の1時間前に東の空を見てみよう。細い月と彗星の共演が楽しめるはずだ。北半球では赤道に近いほどよく見える。・日没後の南西の空:10月12日~31日(明るさは弱くなる)
日没直後の南西の空に尾を引く彗星が、北半球で条件よく観測できる。いずれの期間も、彗星は地平線に近い低空に位置している。
「2度発見された」紫金山・アトラス彗星
この彗星は2023年1月、中国の紫金山天文台によって発見された。その1カ月後、南アフリカ天文台サザーランド観測所の小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)も独自にこの彗星を発見。両方の名をとって命名された。彗星の本体(核)は、凍結したガスと岩石や塵(固体微粒子)から構成されている。米航空宇宙局(NASA)によると、これらは太陽系が形成された際の残存物だ。核の大きさは直径数kmから数十kmに達するものもあり、紫金山・アトラス彗星は直径20~40kmと非常に大きい。太陽に近づくにつれて彗星は熱を帯び、ガスを放出する。これが「尾」のように長く伸び、明るく光って見える。
(forbes.com 原文)