欧州

2024.09.07 17:30

東部ポクロウシク方面でウクライナ軍が反撃 3個旅団が増援、ロ軍の攻勢やや鈍化

もっとも、ポクロウシク方面ですぐに劇的な変化が起こるとは思わないほうがいいだろう。少なくとも3個の増援部隊、具体的には国家親衛隊の第15作戦任務旅団(通称「カラダフ旅団」)と第12特務旅団アゾフ(通称「アゾフ旅団」)、陸軍の第93独立機械化旅団が行っている反撃はいまのところ小規模なものであり、その効果はロシア側の前進を鈍らせるか、若干押し戻す程度にとどまっている。

一方で、ロシア側も攻勢の勢いを失うわけにはいかない状況にある。ロシア軍の前進が1日遅滞するごとに、ウクライナ側は冬の到来前にポクロウシク周辺で塹壕を掘り、陣地を補強していくことができる。そして、こうした動向はこの戦争全体の帰趨に影響をおよぼすことになる。ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は6日の作戦状況評価で「来るポクロウシク戦は、2024年の南西作戦域における敵の攻勢作戦のヤマ場になるだろう」と述べている。

ポクロウシクの南東に位置する最前線の都市、セリドベでカラダフ旅団が行っている苛烈な戦闘は、ウクライナ側による最近の反撃で最も重要なものかもしれない。ここ数日、カラダフ旅団のT-64戦車は、東西に走る幹線道路から市内への侵入を図るロシア軍の戦車や歩兵用装甲車両を相次いで撃破したり、鹵獲したりしている。

ポクロウシク一帯は高台にあり、ロシア軍は比較的標高の低い南側から回り込もうとしている。一部の部隊は、最高標高がポクロウシクより30mほど低いセリドベに向かってきている。

ロシア軍はおそらく、ポクロウシクに進撃するためにはまずセリドベを突破しなくてはならないだろう。CDSは「セリドベ一帯を制圧しなければ敵は攻勢を維持できない」と分析している。

装備の整った新鋭部隊がセリドベに投入され、反撃に乗り出したことで、不可避と考えられていたポクロウシク陥落の可能性は、現時点ではやや後退したように見える。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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