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2024.09.18 16:00

「誰もが輝く」空へ──共創が生むサステナビリティとダイバーシティの未来

中期経営計画ローリングプランにおいてESG戦略を最上位の戦略と位置づけ、「多くの人々やさまざまな物が自由に行き交う、心はずむ社会・未来」を目指すJAL。「異彩を、放て。」をミッションに、知的障害のある作家とライセンス契約を結び、アートをプロダクト化するライフスタイルブランド「HERALBONY」の運営をはじめ、さまざまな形で異彩を社会に送り届け福祉領域の拡張を見据えた多様な事業を展開するヘラルボニー。2社の想いはどのように共鳴したのだろうか。

ヘラルボニーとの共創を通じて、JALの社内や顧客・ステークホルダーに起きた意識変革、シナジーを、日本航空 CX戦略部 戦略グループ 松本有紗(以下、松本)、ヘラルボニー マネージャー 室 雅子(以下、室)という2人のキーマンによる対話で明らかにしていく。

24年9月、世界中の障害のある表現者を対象としたアートアワード「HERALBONY Art Prize 2024」が開催され、受賞作品の展覧会が行われた。「作家のキャリアを新たな高みへと押し上げ、従来の「障害とアート」のイメージを塗り替る」というビジョンに共感したJALはゴールドスポンサーとして協賛。「JAL賞」作品は、約3万6,000人の社員に向けた社内報を活用し、社員投票で決定したという。

そうした航空会社のJALと、主に知的障害のある作家のアート作品をライセンスビジネスで展開するヘラルボニーとの協業・共創は、いつから始まったのだろうか。

一人の客室乗務員が送ったメッセージが共創の発端に


松本 ヘラルボニーとの共創のきっかけは、ひとりの客室乗務員のメッセージでした。社内ベンチャーチーム「W-PIT(Wakuwaku-Platform Innovation Team)」のメンバーである客室乗務員 佐藤が、JALの新しい価値創造を考えるなかで強いインスピレーションと可能性を感じたのがYouTubeで拝見したヘラルボニー代表 松田崇弥様の「障害のイメージをひっくり返す」というテーマだったのです。佐藤が学生時代のボランティアで福祉と関わってきた経験も熱意の源のひとつになっていると思います。

そこで佐藤は松田様に、応援メッセージとともにヘラルボニーとJALとの共創を希望し、21年末に羽田空港で行った「廃材アート展」につながりました。

松本有紗 日本航空 CX戦略部 戦略グループ 

松本有紗 日本航空 CX戦略部 戦略グループ 


 創業2年目の段階で、JAL様から声がかかったことに松田も非常に驚いていたそうです。お互いに非常に強い熱量があり、人の輪が広がるとともにさまざまな企画が生まれたと聞いています。22年には三沢空港のアートラッピングや、国際線ビジネスクラスで提供する機内アメニティへの異彩作家のアート採用など、いろいろなかたちで協業が実現していきました。

──JAL社内は最初からヘラルボニーとの協業に前向きだったのでしょうか。

松本 ひとりの社員の熱意がきっかけとなり、徐々にヘラルボニーとJALのコラボレーションの輪が広がることで、社内の新しいチャレンジに対する機運が高まっていると感じています。機内やSNSなどでお客さまからのお褒めの言葉を頂くことも多く、多くの社員の価値観の変化にもつながっています。23年8月から始まった国際線エコノミークラス機内食のスリーブ(紙帯)をはじめ、ファーストクラスやビジネスクラスのアメニティデザインの変更は社内でも新しい変化だったため、話題になりました。また、アートの裏側にある作家さんのストーリーをお伝えするため、共創のコンセプト動画「Beyond」を機内エンターテイメントで配信しました。

この動画によって、単なる異彩作家の作品起用ということだけでなく、空の旅を彩るアートを通じて多様な価値観との出合い、つながりをつくっていきたいというメッセージを込めていること、ともに隔たりがなく誰もがありのまま輝き、より豊かな人生を楽しめる社会の実現を目指しているとことをお伝えできたと思います。

12月には機内食スリーブで作品を採用した作家様とそのご家族・施設の方々を弊社の訓練施設にお招きし、交流会をかねた機内食の試食会を開きました。そのときに作家のお母様にいただいた言葉が印象に残っています。

「日々のルーティンとして好きで行っている創作活動から生まれたものが、実際に機内食のスリーブとして形になり触れることができて、(息子のなかで)点と点が、つながったのではないかと思います。実際に見ることができて嬉しいです」

作家さんが生み出すアートを商品・サービスとしてお客さまに届けることで、新たな価値観との出合いだけではなく、作家さんやご家族の皆さまとのつながりを生むことができる。「形」にすることは、とても意義のあることだと感じました。現職についた12月以降、ヘラルボニーの皆様に機会をつくっていただき、作家さんが在籍する施設や工房に何度か足を運ばせていただきました。実際に異彩アーティストの方々に直接お会いして、一人ひとりの個性や、アートが生まれた裏側のストーリーを知ることで、心の距離が縮まるような気がします。イメージの変容を目指すなかで「知る」ということが第一歩だと感じており、多くの仲間にも作家さんと会ってストーリーを知ってほしいと考え、6月に社内ツアーを組んでお伺いしました。今後もこのような機会を設けていきたいと考えています。

24年1月から、障がいのある社員が活躍する「JALサンライト」のメンバーが、プロフェッショナルな技術を生かし、国際線ファーストクラスラウンジでコーヒードリップのサービスを担当しています。こちらでもヘラルボニーとJALのコラボレーションカップを使用しており、お客さまからもご好評いただいています。

 JAL様との取り組みの反響は非常に大きく、現在、さまざまな企業からの協業の申し出につながっています。ヘラルボニーとしても社会に対するインパクトの大きい取り組みとなりました。

室 雅子 ヘラルボニー マネージャー

室 雅子 ヘラルボニー マネージャー

2023年10月に業務提携を締結。その背景とは


──ヘラルボニーとの共創が社内ベンチャーという1部門の取り組みではなく、会社を挙げての業務提携に至った理由を教えてください。

松本 JALグループでは、中期経営計画ローリングプランにおいてESG戦略を最上位の戦略と位置づけ、多くの人々やさまざまな物が自由に行き交う、心はずむ社会・未来を目指しています。

JALの「誰もが旅を通じて豊かな人生を楽しめる社会」の実現を目指すというビジョンと、ヘラルボニー様の「障害、隔たりのない社会を目指す」というビジョンが見事に呼応した形です。23年10月に業務提携に至ったのは、単発の取り組みではなく、より広く、面でコラボレーションができる環境づくりを推進したいと考えたからです。

業務提携後の一つの出来事として、国際線アメニティへの異彩アート採用が高く評価され、世界最大の航空業界誌「PAX INTERNATINAL」のアワードで表彰されたことも共創を加速するきっかけとなりました。

 ヘラルボニーとしては、ビジネスクラスの乗客にアメニティを配ることができたことも貴重な機会でした。私たちがESG経営の“S”に注力していることを、経営者層など、社会的な影響力のある方を通して世の中に広くお伝えすることができたからです。

ポーチに採用された作家やご家族の方々にもとても喜んでいただけました。このアワード受賞は何よりも、2社の取り組みが国内にとどまらず世界で認められたということでもあり、大きな喜びを感じました。

──業務提携を経て、「HERALBONY Art Prize 2024」に協賛することになりました。

松本 はじめてヘラルボニー様が国内だけでなく、世界を舞台に異彩作家を発掘・発信するという「HERALBONY Art Prize 2024」。共創のさらなる深化としてヘラルボニーの新たな取り組みに参画し、新たな異彩作家の方が羽ばたく後押しをすることで、障がいのない社会へとつながるのではないかと強く思い、協賛を決定しました。

 「HERALBONY Art Prize 2024」は作品を比べるという主旨のものではなく、世界で活躍する場を異彩作家に提供するためのものです。JAL様とともに、さまざまな企業を巻き込んだムーブメントにまで拡げていきたいと考えています。

松本 こうしたアプローチを行っているヘラルボニー様のような企業は、世界でも稀なのだそうです。その記念すべき第一歩を後押しするために協賛しました。「JAL賞」作品は、多種多様な職種の約3万6,000人に向けた社内報を活用し、社員投票でやまなみ工房に在籍する水上詩楽さんの作品を選出しました。さまざまな点は多様な人々が集い、つながる様子、明るい色彩の扇形が未来へと自由に羽ばたく姿を描き出しているようであり、まさに空を飛び、世界をつなぐ私たちとの強い親和性を感じた作品でした。ぜひお客さまにも水上さんの作品をご覧いただき、想像をめぐらせていただけると嬉しいです。

タイトル不明 水上詩楽作 同作品は、今後JALのアメニティへの採用などでさまざまな展開が予定されている。(上写真で松本が手に持っているのが水上作品を印刷した紙コップのサンプル)

タイトル不明 水上詩楽作
同作品は、今後JALのアメニティへの採用などでさまざまな展開が予定されている。(上写真で松本が手に持っているのが水上作品を印刷した紙コップのサンプル)

空のように国境のない世界を一緒に


──最後に、それぞれの将来展望をお聞かせください。

 世界トップレベルの顧客体験を実現するという部分でご一緒したいですね。異彩作家のアートを纏ったアメニティの提供は、顧客体験のなかで、デザイン性のみならず、多様性に想いを馳せていただくなどの両社の重要な気づきのメッセージを加えられると考えているからです。「空のように国境のない世界を一緒につくっていきたい」と発信すること自体が、最高のカスタマー・エクスペリエンスにつながるのではないでしょうか。

松本 今後もアートで彩られた空の旅という体験を通して、新たな価値観との出合いを創出していきたいです。また、2社間だけではない他企業様とのコラボレーションも実現したいと考えています。そのためにも第一歩として、ヘラルボニー様との取り組みをもっと広く、JAL社員に体験を通して知ってもらいたいと考えています。社員投票で社員から寄せられた意見やアートに対する見方も、本当にさまざまでした。改めて感じたのは、JALグループもまた、多様な社員から成り立っている組織だということです。

まずは3万6,000人の社員の3割、1万人にこの取り組みを体験してもらうことを目標とし、ゆくゆくは全社員に共感の輪が広がるような取り組みに育て上げられればと思っています。


上:JAL国際線エコノミークラス機内食の紙製容器。「HERALBONY」の契約アーティストたちのアートが印刷されたスリーブで蓋が留められている。(24年8月末提供終了)  下:JAL国際線ビジネスクラスで採用されたアメニティポーチ。「HERALBONY」の契約アーティストたちによる個性豊かな作品がフライトを彩った。 異彩アーティストのmarinaさんの作品を採用したポーチは真ん中奥。

上:JAL国際線エコノミークラス機内食の紙製容器。「HERALBONY」の契約作家たちのアートが印刷されたスリーブで蓋が留められている。(24年8月末提供終了) 下:JAL国際線ビジネスクラスで採用されたアメニティポーチ。「HERALBONY」の契約作家たちによる個性豊かな作品がフライトを彩った。 



松本有紗(まつもと・ありさ)◎2015年に日本航空入社。同年より空港旅客サービスのフロントライン業務に従事。16年より人事運用・採用、21年より新規事業開発の担当を経て、23年12月より現職。カスタマー・エクスペリエンス本部 CX戦略部 戦略グループにて、JALグループのブランドマネジメント、商標管理、ヘラルボニー社とのコラボレーション企画を担当。

室 雅子(むろ・まさこ)◎JTB、ベネッセコーポレーションでのグローバル領域における事業開発を経て、2023年11月、ヘラルボニーにジョイン。企業との共創を手がけるアカウント事業部にてマネージャーに就任。

Promoted by JAL | text by Ryoichi Shimizu | photographs by Shuji Goto | edited by Akio Takashiro