北米

2024.09.07 09:00

トランプが米国「政府系ファンド」創設を提案、関税からの資金で

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米共和党の大統領候補のドナルド・トランプは9月5日、次期大統領選に勝利した場合にノルウェーや中国、韓国などが導入している政府所有の投資ファンドを、関税からの資金を用いて創設することを提案した。

トランプは、ニューヨーク経済クラブでのスピーチの中でこの提案を行い、「なぜ米国には国家のファンドがないのか」と問いかけ、自身の政権が政府によるファンドを創設して、「すべての国民の利益のための偉大な取り組みに投資する」と語った。

ソブリン・ウエルス・ファンド(SWF)と呼ばれる政府系ファンドは、国家が所有する投資基金で、一般的な投資ファンドと同様に株式や不動産、債券、ヘッジファンドなどに投資を行い、政府や国民を経済的ストレスから守るための資金プールを築くことを目的としている。

金融関連の教育プラットフォームのCorporate Finance Instituteによると政府系ファンドの資金は、貿易黒字や政府所有の天然資源の収入、外国通貨の取引などからの国の余剰資金から調達される場合があるとされる。

しかし、米財務省によると、米国は2001年以降に連邦レベルで赤字が続いており、余剰の資金はないとされている。

サウジアラビアの政府系ファンドのPIF(パブリック・インベストメント・ファンド)は、9250億ドル(約131兆8000億円)の資産を運用しており、米男子ゴルフのPGAツアーの競合となるLIVゴルフに20億ドル以上を投資していると報じられている。LIVゴルフは、2022年にトランプが所有するゴルフクラブの「Trump National Golf Club Bedminster」でイベントを開催した。

一方、トランプが主張する関税収入による政府系ファンドの立ち上げは、不可能だとの見方も上がっている。シンクタンクの外交問題評議会(CFR)によると、前回のトランプ政権が集めた関税の大半は、中国の報復関税によって巨額の損失を被った農家への支払いに充てられており、トランプは貿易戦争が終わるまで農家への支払いを続けると誓っている。

さらに、ホワイトハウスのデータによると、昨年の4兆4000億ドル(約626兆8000億円)の連邦税収の4分の3以上は、個人の所得税と賃金以外の所得税によるもので、関税の割合はわずか2%に過ぎなかった。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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