北米

2024.09.06 15:00

米司法省がロシアの「情報工作」を告発、右派のYouTube番組に資金提供か

Getty Images

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米司法省は9月4日、身分を隠して米国のインフルエンサーと契約し、YouTube番組を通じてロシアに有利な情報を流布していたロシア国営メディアの社員2人を起訴したと発表した。

司法省は、ロシアからの資金提供を受けたとされる番組の名前を明らかにしていないが、「テネシー州を拠点とするオンラインコンテンツ制作会社」という説明は、著名な右派の論客が集うことで知られるプラットフォームのTenet Media(テネット・メディア)を指していると考えられる。

テネットのウェブサイトには、著名な右派のコメンテーターが掲載されており、そこにはティム・プールやベニー・ジョンソン、デイブ・ルービン、ローレン・サザン、テイラー・ハンセン、マット・クリスチャンセンの6名が含まれている。

司法省の起訴状によると、ロシア国営メディアの従業員らは、テネットに1000万ドル(約14億3000万円)を密かに注ぎ込み、米国内の対立を煽る動画を複数のSNSで公開させていたという。チャンネル登録者数が約32万人にのぼるテネットは、上記のコメンテーター陣を起用して、主に保守的な政治ニュースやカルチャーを取り上げている。

起訴状ではこれらの右派のコメンテーター陣が不正行為を働いたと非難したものではなく、彼らがテネット創設者とロシア国営メディアの工作員に騙されたことを示唆している。

ロシア政府による偽情報キャンペーンについては以前から報じられており、2016年の大統領選挙に際しては、ロシアが選挙結果を左右しようとしたことが、ロバート・ミュラー特別検察官らの調査で明かされていた。

2018年には、コロンビア特別区の大陪審が、ヒラリー・クリントンの事務所と民主党全国委員会へのハッキング容疑で、ロシア軍情報部の12人の将校を起訴していた。この起訴は、2016年の選挙でトランプを支援するために、ロシア関連の人物が偽アカウントを使用してSNS上の情報工作を行ったことを明らかにしたミューラの調査を受けてのものだった。この問題に関する上院情報特別委員会の調査も、2020年に同様の結論に達していた。

米司法省は4日の別の発表で、ロシア政府が11月の米大統領選に干渉するための情報工作で使用していた32のドメインを差し押さえたと発表した。それによると、ロシアは「ドッペルゲンガー」と称する戦術で、ウクライナへの国際的な支援を減らすことを目的としたプロパガンダを秘密裏に広め、今年の米大統領選を含む外国の選挙の有権者に影響を与えようとしていたという。

また、米財務省は4日に偽情報キャンペーンを行ったとされるロシアの非営利組織であるANO Dialogと国営メディアのRT(旧ロシア・トゥデイ)への制裁措置を発表した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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