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2024.09.07 14:15

日本人が知らない「海藻」のすごい技術をカルチャーに昇華させる鍵とは

Aqua Theon inc CEOの三木アリッサ(右)とD&DEPARTMENTディレクター相馬夕輝

Aqua Theon inc CEOの三木アリッサ(右)とD&DEPARTMENTディレクター相馬夕輝

全国各地で活躍するスモール・ジャイアンツ・イノベーターに聞く「これからブレイクするヒト・モノ・コト」の企画内(Forbes JAPAN2024年6月号)で、奇しくも同じ「海藻」をキーワードに取り上げたAqua Theon inc CEOの三木アリッサとD&DEPARTMENTディレクター相馬夕輝。

アメリカで海藻テックとして菓子ブランドを展開する三木が一時帰国した際に、全国各地の食材や食文化を生かしたメニュー開発やイベントなどを手掛ける相馬との対談を実施。日本が誇る海藻カルチャーの魅力と、世界に広めるための課題について語り合った。

世界と日本の地方をつなぐ

──まずは自己紹介と、なぜ海藻に注目したのかお聞かせください。

三木:2019年にロサンゼルスで寒天を使った琥珀糖の和菓子専門ブランド『MISAKY.TOKYO(ミサキ・トウキョウ)』を立ち上げました。海藻は、気温や湿度などに左右され、とても繊細で扱いが難しい。にもかかわらず、なぜ日本には溢れているのかという疑問から始まり、日本は海藻先進国で使用用途も幅広く、しかもとても健康的なものだと知って、のめり込んでいきました。

弊社は今後アメリカ初の寒天を使ったドリンク『OoMee(ウーミー)』を製造、販売。さらには、テキーラやウイスキー、オレンジジュースなどを海藻で包み、形や大きさも自由に変えることができるカプセルも展開していきます。口の中で弾けるインパクトのある食感で、特許も取りました。

アメリカで販売している琥珀糖の和菓子専門ブランド「MISAKY.TOKYO」のサンプル。キム・カーダシアンとコラボしたことも

アメリカで販売している琥珀糖の和菓子専門ブランド「MISAKY.TOKYO」のサンプル。キム・カーダシアンとコラボしたことも

相馬:私はD&DEPARTMENTの食部門を担当しています。、渋谷ヒカリエができた12年前に、D&DEPARTMENTがプロデュースしたd47(ディヨンナナ)は、全国47都道府県のロングライフデザインをミュージアムやストア、食堂を通じて紹介するというのがコンセプトで、私は郷土料理などその地域の食文化をリサーチや現地取材をして、生産者を巡って記事にしたり、メニュー開発に携わってきました。

今回、キュレーターを務めたd47 MUSEUMの展覧会は『NIPPON UMAMI TOURISM』(会期は9月15日まで)。

なぜテーマを「うまみ」にしたのか? 今、海外の人にとって「UMAMI」はダイレクトに響くワードだからです。特に意識したわけではないのですが、今回の展覧会では、海藻を使った郷土料理が4、5県並んでいます。“昆布だし”に限って見ると、全体の半分以上。日本の郷土料理にいかに海藻が重要か、また「UMAMI」を伝えるために海藻は欠かせないことがわかりました。
キャプション: d47食堂の10年間の歩みをまとめた著書『つづくをたべる食堂』

キャプション: d47食堂の10年間の歩みをまとめた著書『つづくをたべる食堂』

──お二人とも、海藻のグローバルな展開を考えていらっしゃるようですが、実際にはどのような取り組みをされていますか。

三木:食や医療分野における海藻の活用技術を世界中に広げると同時に、日本の地方創生も視野に入れています。

長野県の海藻メーカー「伊那食品工業」はパートナーですし、そもそも醤油を海藻で包む技術を持っていた鳥取産業技術センターと提携しています。技術はあっても用途がなかったものを、我々がアメリカ人向きに飲料に応用したものがカプセル技術です。アメリカで販売し、得た利益は日本の地方に落ちていくという仕組みを作り上げました。

相馬:日本の地方創生という点では、私も同じです。郷土料理というと、今や日本のどこに行っても80代の人が担い手となっており、受け継ぐ人がいません。興味を持った外国人の中には、日本に移住して文化を引き継ぎたいという人がいると思うのです。実際、今回の展覧会の来場者も、半数は外国人ですから。日本の文化に関心のある人たちが世界中に広がり、次の担い手になってもらえたらと考えています。

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聞き手・編集=督あかり 文=真下智子 写真=曽川拓也

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