オカルトは非常に魅力的なものだが、これらの認知バイアスを理解することで、好奇心と盲信の境界線をうまく歩くことができる。バイアスの存在を認識することは、オカルトの価値を否定するのではなく、未知のものを解釈する際に脳がどのように機能するかを理解する助けとなる。
以下に、オカルト信仰に影響を与える3つの認知バイアスを紹介する。
1. 確証バイアス:期待しているものを見る
「確証バイアス」とは、自分の信念を裏づける情報に注目し、矛盾する情報を無視する傾向のことだ。たとえば、占星術を信じる人は、自分の星座の特徴が自分に当てはまる部分に注目し、そうでない部分を無視するかもしれない。こうした選択的な注目によって、オカルトの信念はより正確で個人的なものに感じられ、その信仰を強化してしまう。この傾向は、宗教などより広範な思考体系においても重要な役割を果たしている。2021年に『Theology and Science』に掲載された論文は、宗教的信念がしばしば個人的な経験に根ざしており、これらの経験は容易には変わらないことを示している。論文では、これらの信念は確証バイアスによってかたち作られており、客観性、検証可能性、信頼できる証拠に基づく科学的思考とは対照的であると主張している。
確証バイアスには、以下のような利点がある。
・認知効率
既存の信念に合うように情報をフィルターすることで、意思決定を簡素化し、判断をより迅速かつ容易にする。
・心の安定
特に不確かな状況において、信念を検証することで、慰めと安心感を与える。
・社会的な結束
コミュニティ内で信念を一致させることで、集団のアイデンティティと社会的絆を強化する。
しかし、これらの利点は、以下のような代償をともなう。
・歪んだ認識
矛盾する証拠を無視することで、確証バイアスは世界に対する歪んだ理解につながる可能性がある。
・誤謬の強化
確証バイアスは、それらに挑戦する証拠を無視することで、誤ったまたは有害な信念を支持する可能性がある。
・限定的な問題解決
既存の考え方を支持する情報だけに焦点を当てることで、より良い解決策の発見を妨げる可能性がある。
バランスの取れた視点を得るためには、情報源を多様化し、反対意見を積極的に取り入れ、新しい証拠に基づいて信念を修正する姿勢が重要だ。このアプローチは、理解を深めるだけでなく、より正確で適応力のある世界観を育む。