8月の人員削減数は前月比193%増で、単月としては3月以来の高水準。8月としては2020年を除き、7万6456人が解雇された2009年以来の多さとなった。
今年1〜8月に発表された人員削減数は計53万6421人で、前年同期比3.7%減となっている。
8月に最も多くの人員削減を行ったのはテック部門で、3万9563人を解雇した。同部門の人員削減数は今年に入ってほぼ毎月他の部門より多く、この傾向はテック業界が成長と革新から収益・効率性へと軸足を移していることを示しているとチャレンジャーのアンドリュー・チャレンジャー上級副社長は指摘している。
通信大手シスコシステムズ、半導体大手のインテルやインフィニオン、AIプラットフォームのスケールAIなどのハイテク企業が先月、人員削減を発表した。
テック部門に次いで今年これまでに多くの人員削減を行っているのは教育部門。前年同期比222%増の計2万5396人を解雇している。次いでエンターテインメント・レジャー部門(2万1686人)、工業製造部門(1万7828人)となっている。
一方、今年1〜8月に発表された採用計画は約8万人で、昨年同期の13万5980人から41%減となっている。同期間の採用計画数としてはチャレンジャーが2005年にデータ追跡を開始して以来、最少となった。
8月に発表された人員削減は、米労働統計局が4日に発表した採用計画数や離職率の相対的な低さと相まって、「労働市場全体が軟化している」兆候を指し示しているとチャレンジャーは指摘している。求人・離職状況調査によると、7月の求人数は過去3年あまりで最低水準に落ち込み、労働者1人当たりの求人倍率は1.1倍を下回った。求人数の減少と失業率の上昇により、求職者が仕事を見つけるのが難しくなっており、景気後退の懸念が高まっている。米連邦準備理事会(FRB)は今月の会合で利下げに踏み切ると予想されており、借入コストの低下が雇用を促進する可能性がある。
(forbes.com 原文)