グーグル、アップル、メタ、アマゾン、マイクソフト、テスラとともに「マグニフィセントセブン(偉大な7銘柄)」と称されるが、今年に入ってからの株価のパフォーマンスは、他の6社を圧倒。9月4日時点では、昨年末から約2.2倍の水準に跳ね上がっている。
データセンター建設が強力な追い風
エヌビディアの業績拡大を牽引するのがデータセンター向けの売上高の伸びだ。ChatGPTなど急速に普及する生成AIの学習や推論には、高性能のGPUが大量に求められる。国内外ではデータセンターの空前の建設ラッシュ。データセンターに設置されたサーバーなどへGPU搭載が進む。データセンター向けシェアが8割超とされるエヌビディアには強力な追い風が吹く。
だが、わが世の春を謳歌しているのはエヌビディアだけではない。恩恵に浴している企業がほかにもある。日本ではあまり知られていないが、米国の「ヴァ―ティブ・ホールディングス(以下、ヴァーティブ)」という会社もその例にもれない。
オハイオ州ウェスタービルに本社を構える同社が強みを持つのは、データセンター向けの冷却装置。GPU搭載サーバーは計算処理に伴って膨大な熱が発生する。パソコンや携帯電話を長時間使用すると、熱くなるのと同じこと。いきおい、センターには熱を冷ますための仕組みが不可欠だ。
ヴァーティブの業績は冷却装置需要増などを背景に大幅な伸びが続く。7月に発表した第2四半期(4~6月期)売上高は、前年同期比約13パーセント増の19億5300万ドル、調整後の営業利益は同52パーセント増の3億8200万ドルとなった。
ヴァーティブのジョルダノ・アルベルタッツイ最高経営責任者(CEO)は「第2四半期は業績が好調で、受注も予想を上回る伸びを示した」などとさらなる収益拡大に自信を見せる。
決算発表と同時に、2024年12月期通期の業績ガイダンス(見通し)の上方修正にも踏み切った。同期売上高については従来の75億4000万ドル~76億9000万ドルを75億9000万ドル~77億4000万ドルと、予想の中央値を5000万ドル引き上げ。調整後の1株当たり利益に関しても、2.29ドル~2.35ドルから2.47ドル~2.53ドルへ見直した。