この株価の上昇は、売上の増加と、同社が中国のエネルギー企業GCLグループと1億3500万ドル(約194億円)以上の契約を結んだことを受けてのものだ。
QuantumPharm(クォンタムファーム)という正式名称で香港証券取引所に上場している同社は、2024年上半期の収益が前年比28%増の1億260万元(約20億円)だったと、8月28日の提出書類で開示し、AIを駆使した創薬サービスの顧客数の増加が売上増に寄与したと述べた。
晶泰科技の顧客には、ファイザーやジョンソン・エンド・ジョンソン、中国生物製薬傘下の正大天晴製薬グループ(CTTQ)、香港のCKハチソン・ホールディングスのバイオテック部門であるCKライフ・サイエンスなどがある。
しかし、同社の上半期の純損失は、主に利息収入の減少や上場費用などの支出増が原因で前年同期比46%増の13億元(約263億円)に拡大した。晶泰科技は、研究開発に多額の投資を続けており、2024年上半期には2億1040万元(約43億円)を投じていた。ただし、この費用は前年同期から約10%減少した。
一方、同社は8月下旬に中国のエネルギー大手GCLグループとの5年間にわたる総額1億3500万ドル(約194億円)以上のパートナーシップ契約を締結した。この提携により両社は、電気自動車(EV)のリチウムイオン電池などに使用される新素材の研究開発を共同で行うとしている。
マサチューセッツ工科大学出身の中国人量子物理学者、ウェン・シュハオ、マー・ジアン、ライ・リペンの3人が創業した晶泰科技は、AIや量子物理学、クラウドコンピューティング、ロボティックオートメーションを組み合わせ、新薬候補となる可能性が高い新規分子を発見している。同社の原発性高シュウ酸尿症(腎結石を引き起こす病気)向けの医薬品候補は、2025年上半期にオーストラリアでヒト向けの安全性評価試験に入る予定とされている。
晶泰科技は最近、農業や化粧品、ヘルスケア、EV向けバッテリーの新素材などの分野にも進出している。同社の投資家には、テンセントやニール・シェンのHongshan(旧セコイア・チャイナ)、5Yキャピタル(五源資本)、グーグル、サスケハナ・インターナショナル、中国生物製薬、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2などが含まれる。
香港証券取引所は、低迷するIPO市場を活性化させるため、時価総額や売上高が小規模なテクノロジー企業のための新たな上場ルールを1年以上前に導入したが、晶泰科技はこの新ルールの下でIPOを果たした最初の企業となり、6月のIPOで9億8930万香港ドル(約181億円)を調達していた。同社株は、9日に香港のハンセン指数の構成銘柄に組み込まれる予定だ。
(forbes.com 原文)