同省は、これらのドメインはロシアのIT企業ソーシャルデザイン・エージェンシーとストルクトゥーラ・ナショナルテクノロジーのほか、同国の非営利組織ANOジアロクによって管理され、特にロシア大統領府(クレムリン)のプロパガンダ拡散に利用されていたと判断した。
米財務省は同日、米国の視聴者に影響を与えることを目的としたクレムリンによる偽情報拡散の疑いで、ANOジアロクとロシア国営メディアRT(旧ロシア・トゥデー)を制裁の対象に加えたと発表した。
同省によると、RTは偽情報の拡散を支援するため、今年から米国のインフルエンサーの募集を開始したが、ロシア政府との関係を隠すために架空の会社を利用したという。財務省は、ANOジアロクとRTが所有する米国内のすべての不動産を差し押さえるとともに、両社と米国民が関わる取引も遮断する制裁を科す。
米司法省は、RTの米国支局だったRTアメリカが2016年の米大統領選へのロシア政府の干渉作戦を助けたとして、翌年、RTアメリカにロシアの外国代理人として登録するよう義務づけた。米国家情報長官室(ODNI)が2017年に公表した報告書によると、RTのマルガリータ・シモニャン編集長はロシア政府高官と「密接なつながり」を持ち、同メディアは「国家から与えられた任務を遂行しなければならない」と述べた。RTに勤務する社員は今年7月、偽情報拡散の疑いで米司法省に起訴された。同社員はウクライナ侵攻に関する偽情報を拡散するため、米国人を装い、約1000件に及ぶソーシャルメディア(SNS)アカウントを利用していた。
また、ソーシャルデザイン・エージェンシーは3月、ロシア政府のために欧州で偽のニュースサイトを運営していた疑いで、米財務省の制裁対象に加えられた。
米政府高官はここ数カ月間にわたり、次期大統領選へのロシア政府による干渉の可能性を指摘してきた。ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は2月、ロシアがジョー・バイデン米大統領の選挙活動を妨害しようとするなど、米国の「政治と民主主義を操作」しようとする動きに懸念を表明した。
米政府はこれまで、2016年と2020年の米大統領選でもロシアが干渉を試みたと結論づけている。ロバート・モラー米元特別検察官は2019年、2年間にわたる捜査の結果、2016年の大統領選でドナルド・トランプ前大統領が民主党のヒラリー・クリントン候補に勝利するよう、ロシアが数千件に及ぶ偽のSNSアカウントを操作していたことが判明したと発表した。ロシアは米民主党全国委員会(DNC)にハッキングを仕掛け、クリントン陣営に不利となる文書を流出させるなどしたという。さらに米国家情報会議(NIC)は2021年、バイデン大統領の息子ハンターに関する偽情報の拡散など、2020年の米大統領選でもバイデン陣営の選挙活動に害を及ぼす取り組みを、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が許可したと判断した。
(forbes.com 原文)