アリス・ウォルトンの推定保有資産は891億ドル(約12兆8600億円)。6月に女性としては初めて保有資産が1000億ドル以上の「センチビリオネア」となった仏化粧品大手ロレアルの相続人フランソワーズ・ベタンクール・メイヤーズ(推定保有資産884億ドル)を抜いてトップに立った。
フォーブスのリアルタイムトラッカーでは、アリス・ウォルトンは現在、世界富豪ランキングで兄のロブ・ウォルトンに次ぐ18位だ。ウォルマートの株価は年初来で47%上昇しているが、ロレアルは同期間に13%下落している。
創業者サム・ウォルトンの相続人らは、過去10年間で220億ドル以上のウォルマート株を売却し、110億ドル以上の同株を手放したにもかかわらず、同社の株式の46%近くをまだ保有している。これは一族の持株比率が下がるのを防ぐためにかなりの自社株買いを行ったことによる。
フォーブスは、ウォルトン一族が保有する同社の株式の4分の3は、長女アリス、長男ロブ、そして三男ジムに均等に分配されていると推定している。米国東部時間4日午前9時15分時点のロブの推定資産は942億ドル、ジムは959億ドルだ。
保有株式の残りの大部分は、2005年に亡くなった次男ジョン・ウォルトンの相続人である妻クリスティ・ウォルトンと息子のルーカス・ウォルトンが保有しており、クリスティの推定資産は164億ドル、ルーカスは339億ドルだ。
ロブは20年以上にわたる会長職を含め、40年以上担ったウォルマートの取締役を6月に退任した。会長職はロブの義理の息子、グレッグ・ペナーが2015年から務めている。ジムの取締役の席は2016年に息子のステュアート・ウォルトンが継ぎ、ステュアートは現在、一族が経営するアーベスト銀行の会長を務めている。
アリスは1971年にテキサス州のトリニティ大学を卒業し、ウォルマートで子ども服のバイヤーとして短期間働いた後、アート分野に軸足を移した。アリスは一族の故郷であるアーカンソー州ベントンビルにあるクリスタル・ブリッジズ・ミュージアム・オブ・アメリカンアートの理事長を10年間務め、2021年に甥のトム・ウォルトンの妻、オリビア・ウォルトンがその職を引き継いだ。アリスがこのミュージアムを開設したとされているが、2011年の開館に伴った費用16億ドルのほとんどが、アリスの兄ジョンと2007年に亡くなった母ヘレン・ウォルトンによるものだった。
アリスはここ10年で慈善活動を活発化させ、ウォルトン一族が運営する5つの慈善財団に57億ドル以上を拠出した。これまでにアリスの寄付の11億ドル以上が活用され、うち3億7700万ドル超はアート・ブリッジ財団に贈られた。同財団は2016年に設立されて以来、アメリカンアートの作品を購入し、米国内の230以上の美術館に作品を貸し出している。また、2025年にはアリス・L・ウォルトン医科大学がベントンビルに開校する予定だ。
アリスはクリスタル・ブリッジズの理事長職の退任を発表した2021年の報道資料で、「過去数年間で芸術と健康・福祉に焦点を当てた組織を設立した。これらの組織の運営に全力を注ぎたい」と語っている。
(forbes.com 原文)