とはいえ、何かと詰め込みがちな慌ただしい現代生活にあって、わたしたちは体が睡眠不足の切実なシグナルを発していても無視してしまいがちだ。仕事やプライベートの用事をいくつもこなしながら、睡眠を後回しにする人は少なくない。こうしたシグナルを無視してもたいしたことはないと思うかもしれないけれど、そのままの生活を続けていると心身両面で深刻な影響が出てくるおそれがある。
適切な睡眠時間は?
「睡眠時間が7時間、とくに6時間半をきってくると、いろいろな障害の有病率が上昇します」。睡眠の研究者であるデイビッド・F・ディンジスはそう警鐘を鳴らす。言い換えると、睡眠は単にとるだけでなく、適切な長さとることが必須だということだ。スーザン・ウォーリーによる2018年の研究によると、睡眠不足は高血圧や肥満、2型糖尿病、心血管疾患、免疫機能の低下など、ほうっておくと重篤な合併症を引き起こしかねない身体症状と関連づけられている。
しかも、ただ睡眠時間を増やせばよいというわけでもなく、ちょうどよい長さの睡眠時間を見つけることが大切になる。ある研究によれば、睡眠時間が短すぎると精神疾患の発症リスクが有意に上昇する一方で、とりわけ若年成人では逆に睡眠時間が長すぎても問題になる可能性がある。裏を返せば、短すぎも長すぎもしない、適度な睡眠を確保すれば、精神衛生面の問題をよりよく管理できるということだ。
まとめると、身体の健康であれ精神の健康であれ、全体的な健康のためには、ほどよい量と質の睡眠が不可欠になる。生活習慣を見直し、どのような状態の場合に睡眠習慣をケアすべきかを知るのに、遅すぎるということはない。ここでは、あなたの睡眠サイクルが上げているかもしれない声なき悲鳴の手がかりを4つほど示したうえで、問題がありそうな場合にまずやるべきことをいくつか紹介しよう。