3. 漠然と気分が揺れ動く
2019年の研究によると、睡眠不足は気分や情動に大きな影響を与え、悪循環を引き起こす。眠れない夜が続くと人は単に機嫌が悪くなるだけでなく、怒りっぽくなったり不安を感じやすくなったり、さらにはうつ病を発症することすらある。2014年に『SLEEP』誌に掲載された論文では、睡眠が減ると大うつ病のリスクが高まり、大うつ病を発症すると睡眠の質が悪化し、問題がさらにこじれるという関係を明らかにしている。睡眠が足りないと、脳の感情中枢である扁桃体が「多動性」の子どものような状態になり、行きあたりばったりで予測のつかない変化を引き起こす。ある研究によれば、睡眠不足は攻撃性(ムカつく気持ち)の高まりと関係している。デニス・ジャリンらが2014年に『Journal of Sleep Research』誌に発表した研究によると、睡眠不足の人はネガティブな刺激に対して60%強く反応していた。つまり、こうした気分変動は単なる一過性の気持ちの揺れのようなものではなく、睡眠不足によって情動のバランスが崩れているというシグナルなのだ。
4. 一瞬で入眠する
一般に信じられているのとは反対に、寝つきがよすぎるのは褒められることではない。『睡眠百科事典』によると、正常な「睡眠潜時」(覚醒状態から入眠までの時間)は、成人では10~20分だ。睡眠潜時が5分足らずの場合、病的な眠気が疑われ、そうした眠気はパフォーマンスの低下と関連づけられている。あまりに短い時間での入眠は、蓄積された睡眠不足を体が過剰に補おうとしている表れだ。5分未満の睡眠潜時は、日中に過度の眠気に襲われていることを示す場合が多く、ナルコレプシーのような睡眠障害と関連している可能性がある。即座の入眠は、健康的な睡眠を維持するよう促すシグナルであると同時に、失われた休息を回復するよう体が緊急に求めていることのシグナルでもある。こうした場合は睡眠パターンを見直し、調整するようにしたい。