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サイエンス

2024.09.08 09:00

多種多様な感情の深みを味わう「心理的に豊か」な人生を実現する2つのヒント

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あなたの人生はルーティンに縛られていやしないだろうか。それとも、挑戦しては自身を変革する経験に満ちあふれているだろうか。幸せや目的意識にとどまらない何かを心が欲していると感じるのなら、あなたが求めているのは「心理的に豊か」な人生かもしれない。

心理的に豊かな人生とは何か。心理学と哲学を横断する研究に関する学術誌Philosophical Psychologyに2020年に掲載された論文では、それを「実体験や追体験を通して興味深いことをさまざま経験し、多種多様な感情の深みを噛みしめ味わう、複雑さを特徴とする人生」と表現している。

こうした人生は、幸福な人生や有意義な人生と比べて必ずしも優れているわけではなく、多くの研究者もその点に同意している。ただ、そこで得られた経験は真に記憶に残るものとなりうる。

研究によれば、心理的に豊かな人生を送っているかどうかは次の2つの点からわかるという。

1. 興味深い人生経験をしている

心理的に豊かな人生は、斬新で変化に富んだ興味深い経験を絶えず追い求めることで形づくられ、その結果、ものの見方が大きく変化する。安定性と快適さに重点を置く幸せな人生や、目的を重視する有意義な人生とは異なり、心理的に豊かな人生は、たとえ不快であっても変化を好む。

感情科学学会(Society for Affective Science)が刊行する学術誌Affective Scienceに2020年に発表された9カ国を対象とした研究結果からは、幸せな人生や有意義な人生を犠牲にしてでも、心理的に豊かな人生を送りたいと考えている人が相当数いることが明らかになった。

また、この研究では米国人参加者の約28%が、もしも今までで最も後悔している出来事を1つなかったことにできるなら、自分の人生はもっと心理的に豊かなものになっていただろうと答えた。

研究チームはこう説明している。「幸せな人生と有意義な人生に付きまとう問題の1つは、どちらも単調な繰り返しになりがちだということだ。9時から5時までの安定した、おそらくはやりがいのある仕事に就き、幸せな結婚をして子どももいるような人は、多くの点で幸福かつ有意義な人生を送っているかもしれないが、それは必ずしも多様な経験に富んだ人生ではない」

心理的に豊かな人生を送っている人は、新しい視点や新奇な文化、これまでにないアイデアを積極的に求める場合が多い。自分の思考パターンに敢えて挑戦したり、世界観を広げたり、未知の状況に没頭したりする活動に惹かれるのだ。

行ったことのない国を旅してみる、一風変わった趣味や娯楽に手を出してみる、異なる背景を持つ人々と交流してみるといった経験は、日常生活の単調さを打破し、継続的な成長と進化をもたらす。たとえば言葉の通じない国へ旅行すれば、新しい環境に身を置くだけでなく、コミュニケーションの壁や文化の違いなどの課題にも直面する。こうした経験は、その人の世界観を再構築し、思いがけない方法で成長を可能にする。
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翻訳・編集=荻原藤緒

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