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2024.09.13 16:00

日常のなかでこそ、人の研究もビジネスも前進する──睡眠研究の権威が期待するTAKANAWA GATEWAY CITYでのフィールドワーク

「100年先の心豊かなくらしのための実験場」をテーマに掲げるTAKANAWA GATEWAY CITY。その中核を担うビジネス創造施設TAKANAWA GATEWAY Link Scholars’ Hub(高輪ゲートウェイ リンクスカラーズハブ/以下、LiSH)が、第1弾メンバーを発表するとともに、さらなる会員企業の募集を開始した。「環境」「モビリティ」「ヘルスケア」の3つを重点テーマとして、スタートアップやアカデミアを巻き込んだオープンイノベーションの新拠点となることが期待されている(前回の記事参照)。

延床面積約845,000㎡のフィールドがおよそ10万人の来街者を対象とした「実験場」となるこの街から、どのような未来の可能性が生み出されていくのか——。世界有数の睡眠研究で注目を集める東京大学大学院医学系研究科 教授/睡眠研究スタートアップ・ACCELStars創業者兼取締役の上田泰己と、施設のコンセプトメイキングを担うJR東日本マーケティング本部まちづくり部門品川ユニットの宮嶋耕平がその期待を語った。

「100年」という長期目線だからこそ解決できる大きな課題に立ち向かう


「100年先の心豊かなくらしのための実験場」をコンセプトに掲げるTAKANAWA GATEWAY CITY。「100年」という長い時間に込められたのは、約150年前に高輪の地から日本ではじめての鉄道を走らせた先達の挑戦に刺激を受けたJR東日本の、「次の100年の未来を見据えた『地球益』の実現への決意」だ。まちびらきに先立って2023年10月に発表されたJR東日本と東京大学の産学協創協定の期間が「100年」となっているのも、この想いに端を発している。

「私たちは日本だけではなく世界中の課題解決のためにこの街全体を実験場として位置づけ、地球益の実現に貢献していきたいと考えています。地球規模の喫緊の課題を前に、企業1社で解決することは難しい。多様な知をかけ合わせるリアルの場を設けることで、イノベーションを加速させていく必要性を感じ、LiSHを開設するに至りました」(宮嶋)

JR東日本マーケティング本部まちづくり部門品川ユニットの宮嶋耕平

JR東日本マーケティング本部まちづくり部門品川ユニットの宮嶋耕平

ビジネス創造施設「LiSH」は、多様で先端的な知や技術をもつ人(Scholars)をつなぎ、かけ合わせる(Link)ことで新たなビジネス・文化の創造を目指すという意味が込められている。

「ビジネスが生まれるところに直接関わり、業種や産学の垣根を越えて新たなつながりを私たち自身が生み出し、可能性を広げていく。その役割を、責任をもって果たしていきたいと考えています。そしてまた、100年先を見据えるTAKANAWA GATEWAY CITYだからこそ、社会実装に時間が要するディープテックをはじめ、まさに未来のくらしを変えるソリューションの創出を、長期目線で支援していきたいと決意しています」(宮嶋)

そして、そんなLiSHへの参画を予定しているのが、人間のリズムを解明する概日時計(体内時計のなかでも24時間周期のリズムを指す)の研究、睡眠研究で世界的に注目される上田だ。

「最初に100年と聞いたときは、驚きました。自分の研究者人生、むしろ人生そのものを超えるような尺度で、さまざまな課題の解決に向き合っていかなければならない——そんな宿題をいただいたようで、刺激的でした。100年という時間があれば、今あるさまざまな前提が変わるでしょう。同時に、100年あれば、課題の本質的な部分に腰を据えて取り組むこともできるはずです。

短期的に目の前の課題を解決しようとするならば、専門性を突き詰めていくほうが有効ですが、長期的に大きな課題を解決するならば、分野をまたいで、アカデミアやビジネスの垣根も超えて取り組んでいかなければ解決策は出てきません。その革新を、世界的に見ても課題の多い日本で、その中心にある東京で起こしていくんだと考えると、いろいろと想像が掻き立てられます」(上田)

TAKANAWA GATEWAY CITYには、プラネタリーヘルスをテーマにした「東京大学 GATEWAY Campus」や、羽田空港やリニア中央新幹線駅にも良好なアクセスを持つ立地条件を活かしたグローバルなコンベンションセンター、企業間のコミュニケーションを促すワーカー向け食堂やさまざまな診療科目が集うクリニックゾーンが設けられることも明らかになってきた。

多様な用途が揃う広大なフィールドに加えて、東京大学をはじめとした先端の研究を牽引するアカデミア人材、KDDIやマルハニチロといった多様な事業会社が集結する。またファイナンスの面では、事業創出のための大手企業のCVCや金融機関・行政との連携にも力を入れ、「場所貸し」ではない、広域スタートアップエコシステムの構築を目指していく。JR東日本が直接関わり、産官学連携のハブとしての機能、施設運営を自ら担っていくことになるという。

「世界一、睡眠時間が足りない東京」から起こす睡眠改革


上田は新しい「生命の概念」をつくり出すことをミッションとした東京大学のUT7(次世代生命概念創出研究グループ)のメンバーでもあり、現在は、東大医学部と大阪の研究室の二拠点に加えて、オックスフォード大学でも研究を行いながら日本とイギリスを行き来している。

「本格的に研究を始めた1997年頃、五反田にあったコンピュータサイエンス研究所で行われていたプロジェクトに参加していたことがありました。当時、生物学においても計算機を用いた生命科学研究を行っていくべきだと考えていたのですが、東大の中に取り組んでいる研究室が見つけられなかった。でも、東京のまちを見回すと取り組んでいる研究所があった。研究室の垣根を超えて、異分野の人たちと共創していくことの可能性を、私はそこで知ったんです。同時に、これがさまざまな研究・ビジネスが集積している東京が持つ可能性でもある、と。

一方で、私の研究テーマから東京にフォーカスすると、日本は東京に人も仕事も一極集中化しているがために、世界で一番睡眠が足りていない場所でもあります。中心部には人が飽和しているのでどうしても通勤圏が広くなってしまい、長時間労働に加えて長距離通勤にも時間を取られてしまっているという都市の課題がどんどん深刻化してきているのです。これは大人たちだけの問題ではなく、子どもたちにも影響しています。現在東京大学で実施している小中高生1万人を対象とした調査でも、推奨睡眠時間を満たしている人が10%にも満たないという結果が出ています。この大きな課題を解決するためには、我々も街に出ていくべきときなのだと感じています」(上田)

東京大学大学院医学系研究科 教授の上田泰己

東京大学大学院医学系研究科 教授の上田泰己

上田の研究によると、脳は漫然と起きている時よりも深い睡眠時のほうが実はアクティブであり、眠りの間に学習機能も高まるのだという。しかし日本の平均は7時間22分、働き盛りの40-49歳の1日の平均睡眠時間においては、「5時間以上6時間未満」(36.5%)という回答がもっとも多いという結果が出ている(2019年国民健康・栄養調査報告より)。

「アカデミアだけでは基礎研究を深めることは可能ですが、実際のフィールドで広く試せる機会は多くありません。高輪には駅やオフィスだけでなく、生活空間も併設されるため、さまざまな人のくらしに密着したさまざまなデータを集められるだろうと期待しています。同時に、JR東日本さんのフィールドをお借りすることで、東京だけでなく日本全国に先駆的な試みを届けられるのではないかと、今からワクワクします」(同)

JR東日本グループには約1,700の駅と1日あたり約1,557万人を輸送するネットワークという強みがある。この街のデータ基盤(都市OS)から得られるデータフィードバックも、この地で挑戦する人々にとって大きな武器となるはずだ。

TAKANAWA GATEWAY CITYは、山手線の駅直結という都心の立地にして、JR東日本1社が単独で管理・運営を行うフィールドだ。オフィスに入居する企業のワーカーたちや、来街者をはじめとする生活者にもモニターとしてご協力いただきながら、「働く/住むだけで健康になる」まちを目指し、「モニターになることもポジティブなことであるというイメージが広がるといいなと考えている」と宮嶋はいう。

「TAKANAWA GATEWAY CITYには、さまざまな業態の企業や店舗が集まるため、なかにはシフトワーカーも含まれます。そのさまざまなケースについて実際にこの場所でデータを分析することができれば、より快適な働き方(仮眠の仕方)を提供できる可能性が出てくる。例えば仮眠をとりながら夜勤を行う人たちにも、人によって最適な仮眠のタイミングが存在します。そうしたあらゆる可能性を探っていけたらと思います」(上田)

上田、宮嶋共に、いずれは、JRの駅を起点とした「スマート健康ステーション®」のネットワークもかけあわせ、より快適な働き方(仮眠の仕方)を広く届けていければと声を弾ませる。

研究だけではなくビジネスも前進させるLiSHの仕掛け


上田はLiSHに設けられるウェットラボにも期待を寄せる。アカデミア、企業が共同で利用できるラボと社会実装のための実験場が一カ所に集約されていることも、上田が創業し、取締役を務めるウェルネススタートアップ・ACCELStarsが入居する理由となっている。

「人はほかの動物とは違い、自分の状態をセルフリポートすることができるため、表現型の研究は進んでいます。一方で、非常に複雑で、個々にその表現や感じ方が異なる場合もあり、因果関係を示すことが難しいことが課題でした。ラボだけではサンプルを揃えられないからです。だからこそ生活の中に測定が入り込んでいくことも重要になってくる。

LiSHでは研究を進めながら、社会実装に向けて企業としてできることも考えていければと思っています」(上田)

社会実装へのスピードを上げていくことは、JR東日本にとっても重要なミッションだ。2025年5月には、まちびらきに合わせたイベントとして「GATEWAY Tech TAKANAWA」の開催も予定している。スタートアップと大企業とのパワーマッチングや、街をあげてスタートアップを支援するピッチイベント、企業出展ブースやビジネスカンファレンスを開催するなど、スタートアップの事業成長を促すとともに、未来のくらしを体験できるショーケースも計画中だ。

街を実験場としたビジネス創造の核となる施設である「LiSH」と、共創を通じたオープンイノベーションの祭典である「GATEWAY Tech TAKANAWA」が一体となって、新たな研究・事業のヒントやチャンスを提供していく。

見据えるのは、100年先の未来。「場を提供するだけではない。新たなソリューションを生み出し、社会実装までサポートしていく。TAKANAWA GATEWAY CITYから、世界中の社会課題解決・地球益の実現に挑戦する」(宮嶋)。JR東日本の覚悟に強く賛同し、期待に胸を膨らませるScholarsは、これからどんな革新を世界に見せてくれるのだろうか。

TAKANAWA GATEWAY Link Scholars’ Hub
https://www.takanawagateway-lish.com/

上田泰己(うえだ・ひろき)
2004年東京大学医学部大学院 医学系研究科修了。生命科学者。2003年より理化学研究所でチームリーダー、2009年にプロジェクトリーダー、2011年にグループディレクターを務め、2013年より東京大学 大学院医学系研究科教授。現在、理化学研究所チームリーダー、東京大学 大学院情報理工学研究科教授などを兼務する。専門はシステム生物学で、概日時計の研究、睡眠・覚醒の研究から生命の時間・情報の謎の解明に取り組む。著書に『「体内時計」はいま何時? システム生物学』(太田光・田中裕二との共著、講談社)、『時計遺伝子の正体』(NHK「サイエンスZERO」取材班、上田泰己・共編著、NHK出版)。2024年6月には初の単著となる『脳は眠りで大進化する』(文藝春秋)を上梓した。

宮嶋耕平(みやじま・こうへい)
東日本旅客鉄道株式会社 マーケティング本部まちづくり部門品川ユニット。2020年に国際教養大学を卒業し、東日本旅客鉄道株式会社に入社。駅員・運転士業務に従事したのち、2023年から品川開発プロジェクトへ参画。TAKANAWA GATEWAY CITY内のビジネス創造施設「LiSH」の開業準備業務を担当するとともに、まちの重点テーマの一つである「ヘルスケア」領域における「スマート健康ステーション」の事業拡大への業務も担当。

Promoted by JR東日本 | text by Miki Chigira | photographs by Yoshinobu Bito