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2024.09.12 16:45

上司と部下の「共創的コミュニケーション」で会社全体のパフォーマンスが向上

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部下とのコミュニケーションを重視している上司は多いだろうが、実際に何を話せばいいのか。上司と部下のコミュニケーションのスタイルによって、部下のモチベーションや自己効力感、さらには会社全体のイノベーションやパフォーマンスも向上することが調査によってわかった。

コーチングにより企業の変革を支援するコーチ・エィは、上司のいるビジネスパーソン404人を対象に上司とのコミュニケーションに関する調査を実施し、上司とおもにどのような形態のコミュニケーションをとっているか、どんな話をしているか、自身と自社のパフォーマンスはどうかなどを尋ねた。

ここでは、コミュニケーションの形態として「共創的」、「相互理解を深める」、「ディベート的」、「当たり障りのない」の4つを定義し、選んでもらっている。「共創的」は、共通の目的を見いだしてお互いの意見からアイデアを創りだすコミュニケーション。「相互理解を深める」は、意見を主張するより相手の考えに耳を傾けて互いの価値観を探るコミュニケーション。「ディベート的」は互いの意見をぶつけあうコミュニケーションだ。

調査によれば、組織の存在意義や目的を自分なりに意味付けしていると思う人(肯定群)は、そうでない人(否定群)、どちらとも言えない人(中立群)にくらべて、共創的コミュニケーションを多くとっていた。相互理解、ディベートの割合は、中立群とさほど変わりないが、当たり障りのないコミュニケーションでは極端に少ない。逆に、否定群のコミュニケーションは、5割以上が当たり障りのないものだった。

「会社全体で新たな事業が創出されているか」との問いに、されていると答えた人(肯定群)も、中立群、否定群と比較して共創的コミュニケーションが多かった。ここでも「意味付け」の設問と同じ傾向を示し、否定群では当たり障りのないコミュニケーションが多い。

また、会話の内容を見ると、共創的コミュニケーションを行っている群は、自分の業務、部署の短期的な課題、相手の業務、相手自身に関する話題を多く交わしている。挨拶や雑談も他の群よりも多く、全体的にコミュニケーションをとる割合が平均よりも高い。当たり障りのないコミュニケーションの群は、挨拶や雑談も含め、全体的に平均よりもコミュニケーション量が少ない。

さらに、直属の上司が「仕事における私の目標を明確にしようとしている」かどうかを尋ねると、「あてはまる」と答えた人は、共創的コミュニケーション群が65パーセントと突出して多かった。

コーチ・エィの研究開発部門であるコーチング研究所は、この調査結果から共創的コミュニケーションの有効性を指摘し、その基盤は、「上司が日ごろから部下の目標や考えに寄り添い、個性に合わせたコミュニケーションを取りながら率直なフィードバックや支援を提供し成長を促進する」、いわゆるコーチ的な関わりによって築かれる信頼関係だと指摘している。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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