クリストファーは、同じく共同CEOの曽安業(パトリック・ツァン)と何智恒(ギルバート・ホー)とともに同社を率いていく。現在35歳のクリストファーは、周大福企業の北アジアでの投資を担当し、ツァンは米国、欧州、オーストラリアの投資を担当。ホーは事業運営とオペレーションを統括する。
ハーバード大学を卒業したクリストファーは、香港に上場するチェン一家のインフラ企業、NWSホールディングスの執行取締役も兼務している。今回のクリストファーの任命の前は、ヘンリーの姪の夫であるツァンが単独のCEOとして周大福企業を率いていた。
現在77歳のヘンリーは声明で、「私はこの3人のリーダーと様々な分野で密接に協力してきた。今回の任命により、当社の成長が続いていくことに興奮している」と語った。
周大福企業は、今回の任命が同社の事業のさらなる成長とグローバルな投資ポートフォリオの拡大に向けてのものだと述べた。同社は、世界27カ国で不動産やホスピタリティ、エネルギー、ヘルスケア関連の投資を行い、1000億ドル(約14兆6000億円)以上を運用していると、ヘンリーが所有する香港のテレビ局のHOY TVは報じている。
この任命は、ヘンリーが昨年11月のインタビューで、後継者をまだ決めておらず、外部からの人材の起用を視野に入れていると語った後に発表された。このインタビューは、彼の長男である鄭志剛(エイドリアン・チェン)の後継者としての地位に疑問を投げかけた。
エイドリアンは、周大福企業の旗艦不動産会社、新世界発展(New World Development)の副会長兼CEOを務めているが、同社は近年の香港と中国本土での不動産市場の低迷による課題に直面しており、株価の急落や香港の競合他社よりも高い負債水準に苦しんでいる。
一方で、ヘンリーの次男である鄭志明(ブライアン・チェン)は、昨年12月にインフラ事業などを手がける新創建集団(NWSホールディングス)の共同CEOに昇格した。また、ヘンリーの娘のソニアは、周大福ジュエリーの副会長を務め、ヘンリーの甥であるコンロイ・チェンとともに同社を率いている。ソニアはまた、チェン家が所有するローズウッド・ホテル・グループのCEOでもある。
(forbes.com 原文)